
視神経(optic nerve)と脳の構造、特に視床下部(ししょうかぶ, hypothalamus)との関係について整理すると、視覚情報の経路だけでなく、自律神経や体温調節とも密接に関わっていることがわかります。
目次
🧠 視神経の経路と脳との接続
視神経(第2脳神経)は、網膜(目の奥)で受け取った光の情報を脳に伝える神経で、以下のルートを通ります:
- 網膜(retina):光を受け取り、電気信号に変換
- 視神経(optic nerve):網膜から出て視神経交差へ向かう
- 視神経交差(optic chiasm):左右の視神経が一部交差する
- 視索(optic tract):交差後、左右に分かれて脳の奥へ進む
- 外側膝状体(lateral geniculate nucleus, LGN)/視床(thalamusの一部)
- 視放線(optic radiation)を経て
- 後頭葉の視覚野(primary visual cortex)で視覚が「認識」される
🔥 視床下部と視神経の関係(直接的な接続あり)
視神経の経路の中にある視神経交差(optic chiasm)は、視床下部のすぐ前方(直上)に位置しています。
ここからが重要です:
✅ 視床下部には、視神経からの情報を処理する特別な核があります。
それが:
▶ 視交叉上核(suprachiasmatic nucleus:SCN)
- 視神経交差の「すぐ上」にある視床下部の一部
- 目からの「光の情報」だけを受け取る特別なルート(網膜→視交叉上核)が存在
- この核が人間の「体内時計(概日リズム)」=サーカディアンリズムを司る
- つまり、「目で光を見る → 脳が今が昼か夜かを判断 → ホルモン分泌や体温調節に反映」さ
❄ 視床下部と体温調節の関係
視床下部は脳の「サーモスタット」として働いています。
特に視索前野(POA:preoptic area)という部位が体温調節の中枢です。
🔗 視交叉上核(光による時間認識)
→ 視床下部内の視索前野(体温調節)
→ 発汗・皮膚血流調整・行動変容(休むなど)を指令
つまり:
光=時間帯情報 → 視神経 → 視交叉上核 → 視床下部 → 体温リズムへ反映
という「目から入る光が体温調節に影響を与える」生理的ルートが存在します。
🧠補足:この知識の応用
- 日中に太陽光を浴びることが、体温調節力を強くする
- 夜にスマホの光を浴びると、視交叉上核が「今は昼」と錯覚 → 体温が下がらず寝つきが悪くなる
- 目の保護(サングラス)で視神経への刺激をコントロールすることが、自律神経の負荷にも関係する
目を守ることが熱中症予防にもつながることが分かっていただけましたでしょうか。
熱中症予防にサングラスを効果的に使用してください。