ヒューマンエラーについても、多くの文献から考え方を紹介しつつ、どのように考え、どのように対処するかを探していきます。第1回目はヒューマンエラーと言えば『James Reason』です。彼の著書『ヒューマンエラー』(認知科学的アプローチ)からお話を始めたいと思います。
- 変動エラーと一定エラー
下に示した2つの射撃の的から考えます。A,B二人の射撃手が的にめがけて10発ずつ射撃した弾痕です。Aの弾痕は中心の周りにばらついているが、Bの弾痕は1箇所に集中しているが中心からは離れている。この二つのパターンが変動エラーと一定エラーを表しています。
Aのパターンは一定なエラーが無く、大きな変動エラーであるが、Bのパターンは一定エラーは大きいが、変動エラーは小さいパターンである。
射撃の得点はAあ88点、Bは66点になります。Aの方が射撃の腕は上のように感じますが、的からその腕前は明らかです。Bは外れはしていまが、まとまっているがAは不安定な射撃になっています。

予測可能性という面から見ると、あと10発ずつ射撃をした場合、Bは視野の修正を行えば、的にまとまって当たる可能性が大きく、Aはそのままばらつく可能性が高いと考えられます。 この射撃の例から、エラー予測の精度は、エラーを増加させる要因をどこまで理解しているかに大きく依存されます。エラー生成の3つの要素、タスクの性質とその周辺環境、パフォーマンスを支配するのメカニズム、個人との関連が理論的にまとめることが必要となる。これらをまとめる適切な理論は、
・エラーが発生するときの条件
・エラーとなる特定の形態
この両方を予測できることが求められる。
下のグラフは全て正規分布になる。
赤色が標準正規分布である。
Aは中心を狙っているが全体的に広がる
黄色のような曲線でるが、Bについては、
中央値を外しているが、外した周りに集まる、緑色のグラフに近く、問題点は把握しやすい。
このように射撃もグラフにすると分かり易くなり、問題点も明らかになる。
