ヒューマンエラーと言えば、ジェームズ・リーズン(James Reason)。そしてリーズンと言えば1990年に認知心理学からの視点で書かれた『Human Error』、1999年に書かれて名著『組織事故』がある。第1回から取り上げているが、基本に戻るテーマから、先ずは分類について再度確認の意味を含めて見ていく。
1.リーズンのヒューマンエラー分類

ヒューマンエラーを少しかじった人は皆が知っている分類になります。色々な本に書かれているものの中から石松先生がまとめられたものを今回は使っています。各分類について、分かり易く書かれています。
ジェームズ・リーズンによるヒューマンエラーの定義は『計画された一連の精神的または身体的活動が、意図した結果に至らなかったものであり、これらの失敗には、他の偶発的事象の介在が原因になる物は除く』としている。
・スリップ(注意の失敗)
行為が実行段階で不具合が生じ、意図した行為が実現しなかった。
例)誤って間違ったスイッチを押してしまった
・ラプス(記憶の失敗)
記憶の貯蔵、検索段階で不具合が生じ、意図した行為が実現しなかった
例)安全帯のフックを掛けようとしたときに、元請から声を掛けられ指示を受け、フックを掛けないで作業を再開した
・ミステイク
計画通りに行為を実行したが、計画段階で不具合があったため、期待した結果が得られなかった
例)危険物質の火災に際して、燃焼物が危険物質との認識なしに通常の消火活動をおこなった。