ヒューマンエラーをジェームズ・リーズン他多くの認知心理学者が研究を行っており、研究者それぞれの成果を取り上げながら話を進めたいと考えている。そこで、認知心理学としてヒューマンエラーを取り上げるにあたり、人間の情報処理過程について少し話をしたいと思う。

我々人間は、視覚、聴覚、触覚、嗅覚、味覚の五感を通して外界から情報を取り入れている。それらの情報は注意、ワーキングメモリーをはじめとする脳内で処理過程を経て、行為として反応を出力する。
このような一連の情報処理過程でのいずれかの段階で生じた不具合が、行為(反応)としてエラーとして顕在化すると考える。人間はこのような情報処理過程を都度続けている、その処理過程で生じた不具合がどのように生じたかを特定することが出来れば、ヒューマンエラーの予防につながるとも考えられる。記憶のエラーであるラプスは、記憶の最初に入る『記銘』長期記憶へ移す『保持』、長期記憶から検索する『想起』の各段階での失敗(エラー)であり、それぞれの対策は異なる。 『記銘』のエラーでは、最初から覚えることに失敗したものであり、一度覚えていたものを忘れてしまうのが『保持』のエラーになります。覚えていたはずなのに長い間思い出さないと思い出せなくなる。また、異なった記憶が要因で書き換えられたり、変形したりする『想起』のエラーになります。