
私たちの生活のすぐそばで、多くの工事が日々行われています。とりわけ、通勤・通学で毎日歩く歩道に面した工事現場では、安全と生活のバランスが求められます。
ところが、最近、私の自宅から最寄り駅までの道にある流通センターの建設現場で、どうにも納得できない光景を目にしました。
目次
■ 歩道の幅は3メートル、それでも“通路”は1メートル以下?
工事も終盤に入り、防護板の撤去作業が始まりました。本来この防護板は、現場の敷地内側からでも撤去が可能な構造です。しかし、元請会社は、より作業しやすい歩道側からの撤去を選択していました。
その結果、歩道は通行部分が1メートル以下に制限され、朝の通勤時間帯にすれ違うのもやっとの状態。ベビーカーを押すお母さんや、白杖を使った方、高齢の方にとっては、極めて危険な状況です。
■ 占用とは「安全のため」に行うもの
歩道の占用は、あくまで歩行者の安全を確保した上で行うべきものです。作業がしやすいからという理由で歩道を削るのは、本来の目的をはき違えています。
現場の事情もあるでしょう。しかし、「安全」が犠牲になるような選択は絶対にしてはいけません。
■ この現場、最初から最後まで…
実はこの現場、着工当初からさまざまな問題が見受けられました。
雑に管理された仮囲い、清掃されない出入口、放置された植栽…
そして今回の歩道占用。最終段階に入ってもなお、歩行者の安全は軽視されたままです。
■ 現場は「街の一部」であるという意識を
工事現場は、一時的な場所かもしれません。しかし、その期間中も周囲の住民にとっては「生活の場の一部」です。安全対策は、自分たちだけで完結するものではなく、地域住民との共生意識をもって行うべきものなのです。
まとめ
「やりやすさ」ではなく「安全第一」で現場を動かす――
それが地域に信頼される現場の姿ではないでしょうか。
これからも現場を見る目を持ち続け、安全なまちづくりの意識を広げていきたいと思います。
法令からこの現場の拙さをあばきます
道路交通法では、「歩道は歩行者の通行のためのものであり、歩行者優先である」という基本原則が明確に定められています。以下に、関連する法令とその解釈を示します。
■ 道路交通法における歩道の取り扱い
【道路交通法 第2条第1項第1号
「道路」とは、一般交通の用に供する道路、橋りょう、広場その他の場所をいう。
→ つまり、歩道も含めたすべての道路は「一般交通のため」、特に歩道は歩行者のための部分です。
【道路交通法 第10条第1項】
車両等は、歩道又は路側帯を通行してはならない。
→ 車両の進入は原則禁止です。必要がある場合には公安委員会の許可が必要です。
【道路交通法施行令 第5条】
歩道は、歩行者の通行を保護するために設けられた道路の部分である。
【道路交通法 第76条第1項第1号】
何人も、交通の妨害となるような方法で道路を使用してはならない。
→ 占用工事が交通の妨げになる場合、特別な許可が必要であり、それでも通行者の安全確保が必須です。
■ 歩道の占用は「作業優先」ではない
歩道を一時的に占用して工事をする場合でも、それはあくまで「歩行者の安全確保」を最優先に行うことが前提です。
具体的には:
- 道路使用許可(警察署)
→ 工事のため歩道を使用する場合は、地元の警察署長の道路使用許可が必要です(道路交通法第77条)。 - 歩行者の通路確保義務
→ 占用中でも、歩行者が安全に通れる十分な幅(通常1.5m以上が望ましい)を確保するよう、各自治体の「道路占用許可基準」などで定められています。
■ 結論:歩行者優先が大原則
したがって、道路交通法においても、工事現場においても、作業のしやすさよりも、歩行者の安全確保が最優先されるべきです。
歩道の占用が許されるのは、「必要最小限」であり、それによって歩行者の安全が脅かされてはならないとされています。
最後まで安全を軽視する建設会社でした。安全風土がない会社のようです。