
以前、地震について安全通信で取り上げたことがありました。調べてみると安全通信vol.202なので3年前の話になります。その時には、南海トラフ、富士山爆発、首都直下などの地震と共に、喜界島カルデラについても取り上げていました。今回の群発地震との関連性についてまとめてみました。
目次
【1】喜界島周辺の地震活動の現状
2025年6月末から7月にかけて、喜界島周辺(奄美大島の東方)で群発地震が活発化しています。
気象庁の発表ではマグニチュード4~5の地震が連続しており、震源の深さはおおむね30~50km前後、震源域がやや拡がりを見せています。
【2】この群発地震は南海トラフとは無関係か?
● 南海トラフのプレート境界(フィリピン海プレートとユーラシアプレート)は四国沖~九州南部沖~日向灘付近を中心とします。
● 一方、喜界島は琉球弧の北端で、プレートの沈み込みによる火山活動がある地域ですが、南海トラフのプレート境界とは直接の関係が薄いと考えられています。
👉 結論:この地震群は南海トラフの巨大地震の前兆とは考えにくいです。
【3】喜界カルデラとその噴火履歴
● 喜界カルデラは直径約19kmの巨大な海底カルデラで、奄美海台と呼ばれる火山性地形に位置しています。
● 約7,300~7,800年前に「Kikai-Akahoya(鬼界アカホヤ)」と呼ばれるVEI7クラス(破局的噴火)が発生し、九州を含む広範囲に火砕流・火山灰を撒き散らしました。
● 「カルデラ噴火の間隔」については明確な周期性はありませんが、約1万年周期で大規模噴火が生じうるとする説があります。
👉 現在の時期は、過去の間隔からみても「そろそろ」ではある、という指摘は否定できません。
【4】今回の地震活動と火山活動の関係性
以下の観点から評価します:
(1)震源の深さ
→ 一部がやや深い(30~50km)ことから、マグマ溜まりの加圧というよりは、プレートの圧力変化や岩盤の調整の可能性が高いです。
(2)地殻変動・隆起の有無
→ 現時点で明確な隆起・膨張(地殻変動)の報告はなし。これは火山噴火の前兆としては重要。
(3)火山性微動・火山ガスの有無
→ 現時点では火山性微動やSO₂の増加などは観測されていません(鹿児島大学、気象庁観測資料より)。
👉 よって、「カルデラ噴火の前兆としての活動」である明確な根拠は現段階では見られていません。
【5】しかし警戒すべきポイント
ただし、以下の事実から引き続き注視すべき状況であることも確かです:
- 喜界カルデラは海底火山であり、噴火兆候を捉えにくい。
- 過去のカルデラ噴火(鬼界アカホヤ)は、直前の明確な兆候が不明。
- 海底噴火であるがゆえに、噴火後に初めて事態が判明する可能性も。
【6】私見
喜界カルデラは次の破局噴火候補として最も警戒されている火山の一つです(国の「火山噴火緊急減災対策砂防計画」でも名指しで対象)。
今回の地震がすぐに噴火につながるとは断言できませんが、以下のような複合的な兆候が出始めた場合は一段階警戒レベルを上げてよいと考えます:
- 浅い震源の地震が集中し始める
- 噴気・海面変化・硫黄臭の報告
- 鹿児島~奄美諸島での急な地殻変動や隆起
- 火山性微動や低周波地震の増加
一万年周期と言われているカルデラ噴火、破滅的噴火と言われる所以は、もしカルデラ噴火が発生すると南九州は壊滅的な状況になります。日本列島は降灰の影響を受け、電子機器及び交通機関はマヒ状態になり、降灰の影響で地球は寒冷化へと舵を切ります。数年は寒冷化が続き、食糧は無くなります。世界がまとまることが出来るのかが問われることになると考えられます。