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心理的安全性について(12)

心理的安全性およびコンサルタントの役割説明

2025.07.10

●構造の明確化 ―なぜ、組織や企業にミッションやパーパスが必要なのかー

 パーパス(porpose)という単語が良く使われるようになっています。パーパスはその会社が『なぜ社会に必要なのか』を明文化した存在理由のことです。

 MVV(ミッション・バリュー・ビジョン)も良く使われています。それぞれ、「何をするのか」「どんな価値観に基づいて行動するのか」「どのようなあるべき姿を目指すのか」を示している。このような言葉と『構造の明確化』とは大きく関係しています。

 職場で心理的安全性を保ち、健全な対立を促すためには、パーパスやミッション・バリュー・ビジョンといった構造を明確にすることが必要です。そうした構造が明確でないと、目的意識がバラバラなままで各自が自分の価値観や意見がまとまらず、建設的な議論になりません。

●創業時の理念や想いは弱くなる

 企業において創業者は会社理念や価値観を言葉に表し、同じ志のもとまとまり進めるが、時間が経過するに従い、事業は継続しているにも関わらず、当初の想いや価値観は時間とともに希薄化していく。また、会社の成長に伴い数字が目的となり、存在意義が見失われています。

●経営陣だけでなく、社員にも問題

 社員にも「いい給与がもらえる」「大手企業だから」といった思いで会社を選ぶ。ミッションやパーパスがそこには存在しない。そのような社員からは「なぜこの組織で仕事するのか」「この仕事で何を成し遂げたいのか」が自分でもわからない、自分の中の構造が不安定になり、心理的安全性は望めません。

●構造があやふやだと利己的な行動になる

 構造があいまいな企業に、構造が明確でない社員が集まると、どんなに今は業績が良くても、どんなに能力の高い社員でも、組織として機能しなくなる。意図や目的が無い集団は、相手のことを自分のために上手く利用してやろうと考え方が生まれる 『給料水準が高い』『福利厚生がしっかりしている』といった動機でその企業に入ってくる人も受け入れることになり、その動機を最大化させるメンバーも出てきます。すると、周囲の人がそのことについて不信感を持っても、明確な構造がなければ咎めることもできません。建設的な意見対立も望めないでしょう。

組織やチームとしてのミッションやパーパスがなければ、メンバーが利己的な行動を取る可能性が高い 

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