
大阪大学大学院で研究中に『心理的安全性』について知ることになり、運よく九州大学で博士号を取得された秋保助教が中京大学から来られ、色々な話を聴かせていただきました。九州大学はPM理論の提唱者である三隅二不二(みすみじゅうじ)先生の流れをくむ、リーダーシップ研究が最も進んでいる大学です。秋保先生もリーダーシップを研究されており、「心理的安全性」については秋保先生から多くを学びました。私が在学中の2020年にはコロナの影響もあり論文があまり多く発表されていませんでしたが、昨今では多くの論文が出て来ています。

論文の、一つに九州大学山口先生が書かれた『組織の「心理的安全性」構築への道筋』には『心理的安全性』の概念が分かりやすく書かれているので、紹介します。
『心理的安全性』とは(エドモンドソンによれば)
チームの心理的安全性とは、他のメンバーがそれを拒絶したり、攻撃したり、恥ずかしいことだと感じたりして、対人関係を悪くさせるような心配はしなくてよいという信念が共有されている状態
この概念を明確に把握するために留意する3つのポイントがある
- 心理的安全性は、組織やチームに備わる集団レベルの特性を差す概念であり、個人特性とは異なる。
- 心理的安全性は、メンバーの潜在意識に深く浸透し、ほぼ無自覚のうちに判断や行動に影響を及ぼす
- 心理的安全性は、必ずしも快適で心地よい集団の状態を表すものでなく、メンバーが経験で得られた知識や理解を全員で学習し共有することで、チームのパフォーマンスにつなげることを可能にする状態である。この経験は成功ばかりでなく失敗やエラーなども含む。
山口先生は、この論文中で現在の「心理的安全性」研究について次のように警鐘を鳴らされています。活発な研究は多様性に富んだ成果を生み出し、心理的安全性を構築することの重要性の理解に貢献した、ただ、中には集団レベルの概念を逸脱して考え方による研究も多数見かける。エドモンドソン先生は心理的安全性について『集団レベルの概念であり個人特性でない』ことを強調している。Aさんは心理的安全性が無いなどという発言はおかしいということである。心理的安全性は集団の持つ概念であり個人の持つ特性でないということを肝に銘じることが大切である。