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心理的安全性について(3)

心理的安全性およびコンサルタントの役割説明

2025.07.10

今回も引き続き九州大学山口先生の論文『組織の「心理的安全性」構築の道筋』から心理的安全性の構築に関する理論的枠組について見ていきます。

●心理的安全性研究の基礎となる理論

 心理的安全性が叫ばれる以前から、日本では『風通しの良い組織』という言い方がありました。風通しは職場のみんなが自然と意見が言える組織を差します。心理的安全性のある組織そのものです。

しかし、風通しが良くない組織に対しての対策は対処療法的な対策に陥りがちでした。

 エドモンドソンは著書「チームが機能するということは」で『学習する組織』論の理論的枠組の基礎として、心理的安全性に構築を理論的に示しながら、組織を機能させる機能としてのチーミングを提唱している。チーミングは次の4つの行動を実践することになる。

  • メンバー全員で学習するための枠組みをつくること(フレーミング)
  • 心理的に安全な場をつくること
  • 行動は失敗から学ぶこと
  • 職業的、文化的な境界をつなぐこと

この4つの行動が連鎖して行うものとされている。ということは、心理的安全性の構築のためにはまず、フレーミングが実施されることが求められます。また、心理的安全性が目標ではなく、失敗から学ぶことの実現可能にすることが心理的安全性構築の価値であり、その連鎖は集団を越えた集団との協働を活性化し、全体でのイノベーションやパフォーマンスを引き出す第4の行動へつながります。

 組織でのコミュニケーションが活発になるとどうしても他組織との関係が疎遠になる現象が起こり、この現象をサイロ化と呼ばれ、生産性や変革性を低下させる影響をもたらすことが指摘されています。チーミングはこのサイロ化を阻止し、変動する環境に対応し、その能力を高める取り組みです。心理的安全性の構築は、組織やチームが持続可能性を保持し高める取組として位置づけられています。

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