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蓄積型熱中症とは?

ブログ

2025.09.07

~知らないうちに体が限界に近づく危険~

近年「熱中症」と聞くと、炎天下で急に倒れてしまうイメージを持つ方が多いと思います。
しかし実は、すぐに症状が出るタイプだけでなく「蓄積型熱中症」と呼ばれるものがあることをご存じでしょうか。

蓄積型熱中症の特徴

  • 一度に発症するのではなく、日々の疲労や体調不良が積み重なって発症するのが大きな特徴です。
  • 高温環境下での作業を連日繰り返すことで、体が少しずつダメージを受け、ある日突然、強い熱中症症状が出てしまうケースがあります。

つまり「昨日は大丈夫だったから今日も大丈夫」とは言えないのです。

なぜ蓄積するのか?

  1. 水分・塩分不足の慢性化
     汗で失われた水分やミネラルを十分に補給できず、体が常に軽い脱水状態になる。
  2. 睡眠不足・疲労
     夜になっても体温が下がらず、熟睡できない → 翌日の暑さに耐えられない体になる。
  3. 暑熱順化の低下
     体が暑さに慣れる「暑熱順化」は休養や休日で途切れることもある。再開後に体が追いつかない。
  4. 連日の作業で体温調整機能が限界に近づく
     少しずつ「視床下部(体温調節の司令塔)」が疲弊し、正常な体温コントロールができなくなる。

注意すべきサイン

蓄積型熱中症は、初期のサインを見逃さないことが大切です。

  • 作業開始前から 体が重い・だるい
  • 寝汗を大量にかいた翌日、頭痛やめまい
  • 軽い吐き気・食欲不振 が続く
  • 夜に足がつる(こむら返り)

これらは「もう体が限界に近いよ」という危険信号です。

予防のポイント

  1. こまめな水分・塩分補給
     水だけではなく、経口補水液や塩タブレットを活用。
  2. 作業と休憩のリズム
     「暑さ指数(WBGT)」を参考に、定時休憩ではなく状況に応じた休憩を。
  3. 睡眠環境を整える
     寝室を冷やしすぎず快適温度にし、寝不足を防ぐ。
  4. 日ごとの体調チェック
     「昨日よりだるい」「食欲がない」など、些細な変化を共有。
  5. 交代制やローテーション
     同じ人が連日炎天下で作業し続けないように工夫。

現場での合言葉

「昨日できたから今日も大丈夫」は危険!
「昨日の疲れが今日に残る」のが蓄積型熱中症です。


まとめ

蓄積型熱中症は、自分でも気づかないうちに体が弱っていくのが怖いところです。
その日の体調を過信せず、チーム全体で声を掛け合いながら予防していきましょう。

蓄積型熱中症と似た症状との違い

1. 蓄積型熱中症

  • 原因:高温下での作業や生活の中で、水分・塩分不足や疲労が積み重なって発症
  • 主な症状
    • 強いだるさ・倦怠感
    • めまい、頭痛
    • 吐き気や食欲不振
    • 夜に足がつる
    • 体温が高め(37.5℃前後の微熱)
  • 特徴:炎天下でなくても症状が出る。連日の作業や睡眠不足で悪化しやすい。

2. 夏バテ

  • 原因:冷房の効いた室内と暑い屋外の温度差、食欲不振や睡眠不足による自律神経の乱れ
  • 主な症状
    • 食欲低下
    • 胃もたれや下痢
    • 疲労感
    • 睡眠の質の低下
  • 特徴:高熱や急激な体調悪化は少ない。長期間続く不調が中心。
  • 見分け方:屋外での作業や発汗が少なくても起こる。水分・塩分を補っても改善しにくい。

3. 夏かぜ

  • 原因:ウイルス感染(エンテロウイルス、アデノウイルスなど)
  • 主な症状
    • 発熱(38℃以上も多い)
    • 喉の痛み、咳、鼻水
    • 下痢や腹痛(ウイルスによる腸の症状)
  • 特徴:感染症なので、周囲にも広がる可能性がある。発熱が高く、喉の痛みが目立つ。
  • 見分け方:発熱が高い/喉や鼻の症状がある → 夏かぜの可能性大。

見分けのポイントまとめ

症状蓄積型熱中症夏バテ夏かぜ
主な原因高温環境+疲労の蓄積自律神経の乱れウイルス感染
微熱(37~38℃)ほぼなし高熱(38℃以上)
食欲不振不振不振+喉痛み
他の特徴足がつる、めまい、吐き気胃腸不調、倦怠感咳、喉の痛み、下痢
改善策水分・塩分補給+休養栄養・睡眠改善医療機関の受診が必要

現場での実践アドバイス

  • 発熱が強く、喉や咳の症状がある場合 → 夏かぜを疑い、無理せず病院へ。
  • 炎天下で働いていて、だるさ・吐き気・足のつりがある場合 → 蓄積型熱中症の可能性大。水分・塩分+休養が必要。
  • 長く続く食欲不振・だるさだけ → 夏バテかもしれません。生活リズムを整えることが大事。

まとめ(追記部分)

蓄積型熱中症は「夏バテ」や「夏かぜ」と症状が似ているため、現場では見分けが難しいことがあります。
しかし「高熱があるか」「喉の痛みや咳があるか」「足がつる・めまいがあるか」を意識すると判断の目安になります。
特に熱中症は、放置すると命に関わるため、少しでも疑ったら早めの休養・補水を心がけましょう。

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