
現場で働いていると、はっきりとは言えないけれど、何かが変わりつつある…
そんな空気を感じることがあります。最近、安全の分野でそれが強くなってきました。
これまでの安全は、法律や基準を守り、事故を出さないことが中心でした。
いわゆる Safety-I(セーフティ・ワン) の考え方です。
ところが令和8年度に向けて、ここに大きな変化が起きつつあります。
「自主規制(自主管理)」
「うまくいっている現場の実践を広げる」
「安全はルールだけで守れない」
そんな考え方が、静かに現場に入り始めています。
目次
■背景にある3つの変化
一本の理由ではありません。
複数の流れが重なり、潮目を変えています。
① 高齢化と多様化
現場には、60代以上の作業者、外国人、女性、季節雇用など、
以前にはなかった組み合わせが増えています。
毎日、メンバーが違う。
今日の仕事が昨日と違う。
「同じやり方で安全を守る」のは難しくなっています。
② 法令は「最低ライン」になってきた
行政は、細かい規制から離れつつあります。
- 化学物質は自主管理
- 荷役は指揮者と手順を現場で決める
- 危険ゼロより、危険を見える化する
つまり、
「守れば良い」から「考えなければ守れない」へ。
③ Safety-I の限界
事故統計を見ると、
重大災害はなくなっていません。
ルール違反をなくすだけでは、変わりません。
■Safety-II の視点へ
新しい考え方が出てきました。
それが Safety-II(セーフティ・ツー) です。
Safety-IIは、こう考えます。
「なぜ、うまくいっているのか?」
「その仕組みを増やそう」
現場には無数の工夫があります。
- 一声かける
- ちょっと位置をずらす
- 周りを見る
- 道具を変える
これらはマニュアルに書かれていませんが、事故を防いでいます。
Safety-IIは、この「うまくいっている理由」を大切にします。
■令和8年度は転換点になる
来年度は、自主管理と取り組み方の変化が進むと考えられます。
- 現場に合わせた安全対策
- 成功の共有
- 教育と対話
- 心理的安全性
- レジリエンス(回復力)
「常に完璧に守る」のは難しくても、
「立て直せる現場」を作ることはできます。
■現場は何をすれば良いのか?
難しいことではありません。
- うまくいっている事例をみんなで話す
- なぜうまくいったのかを言語化する
- そのやり方を、他の人にも使えるようにする
安全は「正しさの監視」ではなく、
「良い実践の共有」に変わり始めています。
■まとめ
- 法令や指導だけでは守れない時代
- 自主管理・現場力が求められる
- Safety-I → Safety-II へ潮目が変わりつつある
- うまくいっている現場を増やすことが鍵
安全の中心は、ルールではなく、人です。
現場で働く人が「自分たちのやり方」を作り、
互いに助け合い、学び合うことで、
安全は強くなっていきます。
令和8年度は、その変化が表に出てくる年になるでしょう。
安全コンサルタントであり心理学に精通している私でしか話せない内容がたくさんあります。