
今朝(12月17日)、完全に赤になっている信号を、ためらいもなく無視して走り去る車を見ました。
「うっかり」ではありません。
見えていて、分かっていて、それでも走っている。
これはもう単なるミスではなく、明確なルール違反です。
さらに、その直後には自転車も信号を無視して通過していきました。
残念ですが、こうした行動は決して珍しいものではありません。
ヒューリスティックスとは何か
ヒューリスティックスとは、
人が考える手間を省くために使う「経験則」や「近道の判断」です。
本来は便利な仕組みですが、
繰り返し間違った使い方をすると、危険な判断が「当たり前」になります。
たとえば、
- 今まで事故に遭わなかった
- 誰もいないから大丈夫
- ちょっとくらいなら問題ない
こうした思考が積み重なると、
「赤信号でも行っていい」という危険なヒューリスティックスが出来上がります。
それは「エラー」ではなく「バイオレーション」
黄色で進入してしまった、という話ではありません。
完全に赤になっているのを確認した上で進んでいる。
これはヒューマンエラーではなく、
意図的な違反(バイオレーション)です。
そして怖いのは、
このバイオレーションが習慣化し、
本人の中では「普通の判断」になってしまっていることです。
なぜ「取り締まり」も必要なのか
理想は教育です。
しかし現実には、
痛い目に遭わないと分からない人が一定数いるのも事実です。
だからこそ、
- しっかり取り締まる
- 繰り返す人は免許を取り上げる
こうした仕組みも必要になります。
これは罰を与えるためではなく、
悪いヒューリスティックスを断ち切るためです。
本当に必要なのは「理由を教える教育」
子どもの頃から大切なのは、
- やりなさい、ではなく
- なぜやらなければいけないのか
- やらないと、どんな悪い癖が身につくのか
を伝えることです。
ヒューリスティックスは、
知らないうちに身につき、
知らないうちに人を危険な行動へ導きます。
心理学から安全を伝えるという使命
ヒューリスティックスそのものを知らない人は多い。
だからこそ、
心理学を学び、安全を仕事にしている立場として、
- 行動の背景を言語化する
- 「なぜ危ないのか」を構造で伝える
これは私の役割であり、使命だと思っています。
今日の赤信号無視の光景は、
その重要性を改めて突きつける出来事でした。