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青森地震で損壊したNTT鉄塔について

ブログ

2025.12.18

― 写真から読み取れる「溶接部破断」の違和感 ―

青森地震(震度6)で、NTTの鉄塔が損壊したという報道がありました。
公開されている写真を見る限りですが、鉄塔の部材が溶接部で切断されたように見える箇所があります。

もしこれが事実で、
破断位置が本当に溶接部であるなら、極めて重大な問題です。

溶接部は「弱点」ではない

一般の方には誤解されがちですが、
適切に施工された溶接部は、母材(普通部)より弱くなることはありません。

むしろ原則は、

  • 溶接部 = 母材と同等、またはそれ以上の強度
  • 設計上も「溶接部が先に壊れる」ことは想定しない

という考え方です。

分かりやすい例:骨折と同じ

これは人間の骨と同じです。

  • 骨折した部分は、治癒後に骨が太く、強くなる
  • 再骨折する場合、同じ場所ではなく別の場所が折れることが多い

構造物の溶接部も同様で、
正しく施工されていれば「先に壊れる場所」ではありません。

もし溶接部で破断しているなら

仮に、地震動によって

  • 溶接部そのものが破断している
  • ビード(溶接金属)や熱影響部で切れている

のであれば、考えられるのは次の点です。

① 施工不良の可能性

  • 溶込み不足
  • 欠陥(ブローホール、割れ)
  • 不適切な溶接条件

② 材料・施工管理の問題

  • 母材と溶接材料の不適合
  • 熱管理不足
  • 検査(非破壊検査)の不十分さ

③ 設計・想定を超えた応力集中

ただしこの場合でも、
通常は溶接部ではなく母材側が先に破断します。

そのため、
「溶接部が切れている」ように見える点に、技術者として強い違和感を覚えるのです。

写真だけでは断定できないが、軽視してはいけない

もちろん、現時点では

  • 写真だけの判断
  • 破断位置の誤認
  • 溶接部に見える別部位の可能性

もあります。

しかし、

もし本当に溶接部が破断しているなら
それは地震のせいだけでは済まない

という点は、はっきり言えます。

インフラ構造物における重み

通信鉄塔は、

  • 災害時のライフライン
  • 公共性の極めて高い構造物

です。

だからこそ、

  • 施工品質
  • 検査体制
  • 設計思想

のどれかに問題があった可能性は、
徹底的に検証されるべきです。


技術は「壊れ方」を見れば分かる

構造物は、
壊れ方に嘘をつきません。

  • どこが先に壊れたのか
  • なぜそこが壊れたのか

そこを読み取るのが、
土木・建築・安全に関わる人間の役割です。

今回の件は、
単なる地震被害として流してはいけない、
重要な示唆を含んでいる可能性があります。

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