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正常性バイアスと「心の切り離し」

ブログ

2026.01.15

――なぜ人は危険を見過ごしてしまうのか

私たちは毎日、車を運転し、現場に入り、機械を動かしています。
そのたびに「今日は事故に遭うかもしれない」と思いながら行動している人は、ほとんどいないでしょう。

それは決して不真面目だからではありません。
人間の脳には「正常性バイアス」という、ごく自然な心の働きがあるからです。


正常性バイアスは悪者ではない

正常性バイアスとは、

「いつも通りだから大丈夫」
「今まで問題なかったから今回も大丈夫」

と考えてしまう心のクセのことです。

たとえば、朝に車を運転するとき、
「事故に遭うかもしれない」と毎回本気で考えていたら、怖くて運転できません。

つまり、正常性バイアスは
私たちが安心して日常生活を送るために必要な心の仕組み でもあります。

だから、正常性バイアスそのものは悪いものではありません。

問題は――
危険な場面でも同じように働いてしまうこと です。


危険なときに働く正常性バイアスが事故を生む

現場では、こんな場面がよくあります。

  • 少し不安を感じたけど「まあ大丈夫だろう」と作業を続けた
  • いつも通りの手順だから確認を省いた
  • ヒヤリとしたけど「気のせい」と流してしまった

このとき、頭の中では正常性バイアスが働いています。

「大げさに考えなくていい」
「いつも通りやれば問題ない」

こうして本来向き合うべき危険から、目をそらしてしまうのです。


ここで関係してくる「心の切り離し」

ユング心理学でいう「切り離し」とは、

不安や違和感を意識の外に追いやってしまう心の働き

のことです。

人は不安を感じると、無意識のうちにそれを見ないようにします。

  • 見なければ楽になる
  • 考えなければ不安にならない
  • 気にしなければ仕事は進む

こうして心は、危険なサインを意識から切り離してしまいます。

すると、

「ちょっと危ないかも…」
という感覚そのものが消えてしまうのです。

ここに正常性バイアスが重なると、

「大丈夫に決まっている」
「気にする必要はない」

という思考が完成します。

これが事故につながる典型的な心理パターンです。


心の切り離しに気づくことが、安全の第一歩

大切なのは、正常性バイアスをなくすことではありません。
それは不可能ですし、必要もありません。

大切なのは、

「今、自分は切り離していないか?」と気づけること

です。

  • ちょっとした違和感
  • なんとなく嫌な感じ
  • いつもと違う感覚

これらはすべて、心からの危険信号です。

その信号を
「気のせい」で切り捨てず、
「立ち止まる理由」に変える。

それが本当の安全行動です。


安全とは、心の使い方で決まる

事故は、機械だけが原因で起きるわけではありません。
環境だけが原因でもありません。

その多くは、
人の心の動きの中で静かに始まっています。

正常性バイアス
心の切り離し
無意識の判断

これらを知ることは、
「自分を守る技術」を身につけることでもあります。

安全とは、注意力ではなく、
自分の心に気づく力 なのです。

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