
― 一人親方は「守るべき人」になります ―
「一人親方だから、うちは関係ない」
これまで、現場ではそんな言葉が当たり前のように使われてきました。
しかし、その常識は、令和8年4月1日を境に完全に終わります。
労働安全衛生法の改正によって、一人親方は明確に「法律で守られる存在」になります。
そして元請には、これまで以上に重い責任が課されることになります。
これは単なる制度変更ではありません。
現場の“考え方そのもの”が変わる、大きな転換点です。
■「労働者じゃないから」は通用しなくなる
今回の改正で最も重要なのは、
安全対策の対象が「労働者だけ」ではなくなることです。
これからは、
同じ現場で働く人は、契約形態に関係なく守る
という考え方が、法律そのものになります。
足場、開口部、防護柵、安全装置。
これまで社員だけに向けていた安全対策を、一人親方にも同じように行う義務が生まれます。
事故が起きたときも、
「うちは雇っていないから」
という言い訳は通用しません。
現場を管理している元請が、責任を負う時代になります。
■「場所を支配する者」が責任を持つ
この改正の根底にあるのは、とてもシンプルな考え方です。
同じ場所で、同じ危険にさらされているのに、
契約の違いだけで命の重さが変わっていいはずがない。
現場を管理しているのは誰か。
作業を統括しているのは誰か。
それは元請です。
だから元請が、その現場に立ち入るすべての人の安全に責任を持つ。
これが新しい時代のルールです。
■「慣れているから大丈夫」はもう危険
これからの現場管理で必要なのは、
「誰がやるか」ではなく「何が危ないか」で考えることです。
・この作業にはどんな危険があるのか
・どこまでを元請が整備するのか
・どこからを本人の責任とするのか
これを事前に整理し、共有しておく。
それがリスクアセスメントです。
「ベテランだから大丈夫」
「昔からやってるから問題ない」
そうした属人的な判断は、これからは会社を守ってくれません。
■令和8年4月は、意識改革の締切日
法改正までの時間は、残りわずかです。
しかしこれは、単なる準備期間ではありません。
これまでの「なあなあ」をリセットするための猶予期間です。
安全管理を見直すことは、面倒な作業ではありません。
会社を守り、現場を守り、人の命を守るための投資です。
次回は、公共工事と民間工事の違い、
そして現場実務で必ず問題になる「2ヶ月の壁」について解説します。