
― 無意識の壁を超える仕組みづくりへの第一歩 ―
現場の安全対策として、誰もが一度は聞いたことのある「指差呼称」。
ヒューマンエラーを防ぐ基本動作として、長年にわたり重要性が語られてきました。
しかし実際の現場ではどうでしょうか。
「最初はやっていたけど、いつの間にか形だけになっている」
「忙しいとつい省略してしまう」
そんな声を耳にすることは少なくありません。
今回は、なぜ指差呼称が定着しないのかについて、「意識」だけでなく「無意識」という視点から整理し、現場職長向けに行ったアンケート設計の考え方と、そこから見えてきた気づきを紹介します。
指差呼称が続かない本当の理由
指差呼称が続かない理由を聞くと、
「面倒だから」「意味を感じないから」
といった答えが返ってくることがあります。
しかし、実際にはそれだけではありません。
多くの場合、問題は本人も気づいていない無意識の領域にあります。
例えば、
- 作業や時間に追われ、余裕がなくなる
- 同じ作業の繰り返しで油断が生まれる
- 周囲の目が気になり、少し恥ずかしい
- 「頭の中で確認しているから大丈夫」と思い込む
これらは、悪意でも怠慢でもありません。
人として自然な反応です。
だからこそ、「なぜやらないのか?」と聞くだけでは、本当の理由にはたどり着けません。
無意識を見える化するアンケート設計
そこで今回、現場職長向けに指差呼称に関するアンケートを設計しました。
狙いは、「意識」を聞くことではなく、無意識の傾向を見える形にすることです。
具体的には、
- 自由記述ではなく、選択式・5段階評価を中心に構成
- 指差呼称を知っているか
- 実際に行っているか
- 有効だと思っているか
を段階的に確認
- 「やらない理由」を
・忘れる
・慣れてしまう
・作業に追われる
といった形で構造化
このアンケートは、
「なぜやらないのか?」を責めるためのものではありません。
「なぜ、やらなくなっていくのか?」を知るためのものです。
教育は本当に現場で生きているか
あわせて、指差呼称に関する教育と実践の関係も確認しました。
- 指差呼称の教育を受けたことがあるか
(ない/1回/2回以上) - その教育は、実際の現場で役立っていると感じるか
(5段階評価)
これにより、
- 教育を受けているのに定着しないケース
- 回数は少なくても効果が出ているケース
- 「やった教育」と「身についた教育」の違い
といった点が見えてきます。
教育は「実施したかどうか」ではなく、
行動につながっているかどうかが重要です。
仕組みづくりの第一歩として
このアンケートは、結果を集計して終わりではありません。
指差呼称を現場に定着させるための仕組みづくりの出発点です。
- どの要因が定着を妨げているのか
- 若手とベテランで違いはあるのか
- 教育のどこを見直すべきか
こうした点を整理することで、
「気合い」や「注意」ではなく、続く仕組みへとつなげていくことができます
おわりに
指差呼称は、「やらなければならないこと」では定着しません。
目指すべきは、
無意識でも、つい体が動いてしまう状態です。
今回のアンケート設計と分析は、そのための第一歩です。
今後は、得られた結果をもとに、現場ごとの特性に合わせた具体的な定着支援策を考えていきます。
今回の無意識を取り上げたのは、ユング心理学に興味があり、入門書を手に取り読み始めたことが始まりです。無意識は当初は意識されていたが、切り離された意識が無意識の領域に入るのです。そして、無意識は消えることなく積み重なった行く、安全を考えるとき、今まで意識・無意識を取り上げなかったが、この無意識を取り上げることで分かりやすくなってきます。