
―― 段差に気づかなかったヒヤリハット ――
現場で、ほんの数歩の移動でした。
椅子に荷物を置こうと歩いただけ。
急いでいたわけでもありません。
足元をおろそかにしていたつもりもありません。
しかし、足が引っかかりました。
「おっと。」
転倒はしませんでした。
でも、確実に躓いていました。
目次
原因は“わずかな段差”
そこは、もともとフラットだった場所です。
機械設置のために開口を設け、
その上に板で蓋をしていました。
見た目には問題がないように見えます。
しかし、ほんのわずかな段差がありました。
人は「いつも通りの場所」だと思っていると、
無意識に“平らだ”と判断します。
ここに、転倒災害の落とし穴があります。
なぜ気づかなかったのか?
心理学では、人はすべてを見ているわけではないと言われています。
私たちは
「意味があると思っているもの」だけを見ています。
- いつも平らな床
- 危険はないはずの通路
- ほんの数歩の移動
脳は「安全」と自動判断します。
これが、いわゆる正常性バイアスです。
「いつも通りだから大丈夫」
この思い込みが、足元への注意を一瞬ゆるめます。
なぜ転倒しなかったのか
日頃から「躓き」に注意していたことが大きいと思います。
転倒しなかったのは偶然ではありません。
- 足を高く上げる意識
- ゆっくり歩く習慣
- 手すりや周囲を意識する癖
普段の積み重ねが、とっさの姿勢制御につながります。
転倒は「突然」起きるのではありません。
日頃の行動が、その結果を左右します。
躓きは“重大災害の入口”
転倒は軽く見られがちです。
しかし実際は、
- 高齢者の骨折
- 頭部打撲
- 後遺障害
- 労災による長期休業
につながる重大災害です。
しかも多くが、
- 「ちょっとそこまで」
- 「急いでいなかった」
- 「いつもの場所」
という状況で発生します。
対策はシンプルです
今回の事例から言えることは三つです。
① “変化”を共有する
開口を設けたなら、
「ここに段差があります」と周知する。
変化は必ず掲示・表示・声かけ。
② 段差は“無い前提”で作らない
板を置くなら、
- 面を揃える
- つまずき防止テープ
- 色で強調する
視覚で認識させる工夫が必要です。
③ 数歩の移動でも油断しない
転倒の多くは「短距離移動」で起きます。
KYは大きな作業だけのものではありません。
「椅子までの3歩」も作業です。
ヒヤリハットは財産
今回、怪我はありませんでした。
しかし、
もし転倒していたらどうなっていたか。
それを考えることが、安全文化を育てます。
ヒヤリで止まった一歩は、
次の重大災害を防ぐ一歩になります。
最後に
安全は、大きな事故だけを防ぐものではありません。
ほんの数歩の移動。
ほんの数ミリの段差。
ほんの一瞬の思い込み。
そこに目を向けられるかどうか。
今回の「おっと」は、
躓き・転倒災害への大きな警鐘でした。
はまちゃんが日頃から転倒に意識を向けているからこそ、
ヒヤリで止まったのだと思います。
現場の皆さんにも、ぜひ伝えてください。
「いつもの場所こそ、いちばん危ない」