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何故?SafetyⅡが広がらないのか

SafetyⅡ

2026.03.04

1) 事故が起きると、人はSafety-Iに戻る

事故・トラブルが起きた瞬間、組織はこうなります。

  • 原因は何だ
  • 誰が悪い
  • ルールを増やせ
  • 再発防止を出せ

これは悪いことではなく、「危険に対する自然な反応」です。
でもこの反応が強いほど、Safety-IIの視点(成功の仕組みを増やす)が後回しになります。


2) 「うまくいっている」は当たり前すぎて、記録されない

現場の日常は、実は「調整の連続」です。

  • 段取りを変える
  • 人員の薄さを工夫で補う
  • 天候や材料のバラつきに合わせる
  • ちょっとした違和感で手を止める

こういう“成功の工夫”は、起きてもニュースになりません。
だから、組織にデータが溜まりにくい。
結果として、学びの材料が不足しがちです。


3) 成功の理由は「見えにくい」

事故は「何が起きたか」が比較的はっきりします。
一方で成功は、

  • いろいろな人が
  • 小さな調整を積み重ね
  • たまたまではなく、うまく収束させた

という形なので、原因が一本線になりません。

つまりSafety-IIは、説明が難しい
だから報告書・会議・教育で使いにくくなります。


4) 管理側が求めるのは「証拠」だが、Safety-IIは数字にしにくい

経営や発注者は、どうしても

  • 何件減ったか
  • 何%改善したか
  • ルールは増えたか
  • 監査で説明できるか

を求めます。

Safety-IIの「余裕」「調整力」「気づき」「相談しやすさ」は、成果が出るまで時間がかかるし、数値化しにくい。
結果として、評価されにくい=投資されにくいになります。


5) Safety-IIが「ゆるい安全」に誤解される

現場では時々こう受け取られます。

  • 「現場の裁量を尊重」=好きにやっていい
  • 「うまくやってる理由を見る」=注意しなくていい
  • 「失敗より成功」=事故の追及をしない

本当は違います。
Safety-IIは「ルールを捨てる」ではなく、現実の変動に耐える安全の作り方です。
でも説明が難しいため、誤解が広がりやすい。


6) 現場が忙しく、振り返りの時間が取れない

Safety-IIは「観察→対話→学習→仕組み化」が要ります。
でも現場は、

  • 工期
  • 人手不足
  • 書類
  • 立会い
  • 追加変更

でパンパン。
結局、短時間でできるSafety-I(ルール・注意喚起・KY強化)に寄りやすい。


7) 「心理的安全性」が不足していると、成功の工夫が出てこない

Safety-IIの材料は、現場の本音です。

  • ここは危ないから、こう工夫した
  • ここは無理が出るから、こう調整した
  • 実はこの手順は現実に合っていない

でも、言うと「手順違反」扱いされる組織では黙ります。
すると成功の知恵が上がらない。
Safety-IIが育たない。


広げるための「現場向けのコツ」3つ

最後に、実務で効く形に落とすとこうです。

① 「成功事例」を“短く”集める

ヒヤリハットの逆版で、1分で書ける形。

  • 今日うまくいった工夫は?
  • 今日の危険を避けた一手は?
  • いつもと違った点と、合わせた点は?

② 「違反探し」にしない運用ルールを先に決める

出てきた工夫を、個人攻撃に使わない。
まずは仕組み化の材料として扱う。

③ 「変動が大きい作業」から始める

全部をSafety-IIにする必要はありません。
天候・段取り替え・狭所・混在作業など、変動の大きいところから始めると効果が見えやすいです。

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