
Safety-Iは分かりやすいのです。
- 事故を減らす
- 原因を潰す
- ルールを守らせる
構造が単純です。
しかしSafety-IIは、
- なぜ普段うまくいっているのかを考える
- 変動にどう適応しているかを見る
- 調整能力を高める
と抽象度が一段上がります。
この“抽象度の高さ”が、現場で浸透しにくい原因です。
目次
Safety-IIの中心にある「レジリエンス」
Safety-IIを理解するには、
まずレジリエンスを理解する必要があります。
レジリエンスとは単なる「強さ」ではありません。
変動に対して、しなやかに適応する力です。
事故が起きた後の回復力ではありません。
事故が起きる前から働いている、日常の調整力です。
レジリエンスの4つの能力
レジリエンス・エンジニアリングでは、組織の能力を4つで説明します。
① 予見する力(Anticipate)
「この先、何が起こり得るか」
例:
- 段差ができるなら躓きが増える
- 人員が減れば作業負荷が上がる
② 監視する力(Monitor)
「今、何が変わっているか」
例:
- 作業者の疲労
- 足元環境の変化
- 工程のズレ
③ 対応する力(Respond)
「その場で調整する力」
例:
- 作業を止める
- 手順を一部変更する
- 人を増やす
④ 学習する力(Learn)
「経験を次に活かす力」
例:
- ヒヤリハットを共有する
- 成功事例を仕組みにする
これらが揃って初めてSafety-IIは機能します。
なぜレジリエンス教育が必要か
Safety-IIは思想だけでは動きません。
レジリエンスは、
- 人の認知
- 判断
- 集団心理
- 組織文化
に深く関わります。
つまり、心理学的理解が不可欠です。
はまちゃんが取り組んでいる
「認知心理学×安全」は、まさにここに直結します。
レジリエンスを広めるための現実的な方法
概念を広めるには、抽象論ではなく“翻訳”が必要です。
例えば現場ではこう言い換えます。
- レジリエンス=「現場力」
- 予見=「先読み」
- 監視=「違和感に気づく力」
- 対応=「止める勇気」
- 学習=「同じ失敗を繰り返さない仕組み」
難しい言葉のままでは広がりません。
Safety-IIを拡大するための戦略
はまちゃんの立場から考えると、拡大の鍵は3段階です。
第1段階:言葉の整理
「Safety-IIとは何か」を明確にする。
→ 事故ゼロ活動ではない
→ ルール軽視でもない
→ 日常の成功の仕組みを見ること
第2段階:レジリエンスの具体化
4能力を、実際の現場事例で説明する。
例:
「段差のヒヤリハットは、予見と監視が弱かった例」
第3段階:教育体系への組み込み
職長教育や安全衛生責任者教育の中に、
- ヒヤリハットの分析
- 成功事例の抽出
- 認知バイアスとの関連
を組み込む。