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5Sは掃除ではない

ブログ

2026.03.09

―― レジリエンスを育てる現場の力 ――

Safety-IIという言葉を聞いたことがあるでしょうか。

従来の安全活動は、

「事故を減らす」
「原因をなくす」

という発想が中心でした。これをSafety-Iと呼びます。

一方でSafety-IIは、

「なぜ日常がうまくいっているのか」に目を向ける考え方

です。

実は、私たちの現場は毎日うまくいっています。
事故が起きない日のほうが圧倒的に多いのです。

では、なぜうまくいっているのか。

その鍵が「レジリエンス」です。


レジリエンスとは何か

レジリエンスとは、

変化や想定外に対して、しなやかに適応する力

です。

事故が起きた後に立ち直る力ではありません。
事故が起きる前から働いている「日常の調整力」です。

例えば現場では、

・天候の変化
・人員の不足
・工程の遅れ
・材料のばらつき

こうした“変動”が常に起きています。

それでも事故が起きないのは、
誰かがどこかで調整しているからです。

これがレジリエンスです。


レジリエンスの4つの力

レジリエンスには4つの力があります。

① 予見する力
② 監視する力
③ 対応する力
④ 学習する力

この4つが機能しているとき、安全は安定します。

では、この力をどうやって育てるのか。

ここで登場するのが「5S」です。


5Sはレジリエンス訓練である

多くの現場で5Sは「整理整頓活動」として扱われています。

しかし本質はそこではありません。

5Sは、レジリエンスを鍛える日常訓練です。


整理 = 予見する力

不要なものを排除することは、

「将来の事故の芽を摘む」ことです。

整理とは、未来を見る行為です。


整頓 = 監視する力

物の位置が決まっていると、

「いつもと違う」がすぐ分かります。

整頓とは、異常に気づく仕組みづくりです。


清掃 = 変化に触れる力

掃除は単なる美化活動ではありません。

床の油、ボルトの緩み、段差の発生。

清掃は“触れて異常を感じる”行為です。


清潔 = 対応の安定化

良い状態を維持する標準化。

これは、対応力を属人化させないための基盤です。


しつけ = 学習する力

ヒヤリハットを共有する。
成功事例を言葉にする。

これが文化として根づいたとき、
レジリエンスは強化されます。


なぜSafety-IIが広がらないのか

Safety-IIが浸透しない理由の一つは、

「概念が抽象的だから」です。

レジリエンスという言葉も、
“なんとなく強い”というイメージで止まりがちです。

しかし、5Sという日常活動と結びつければ、
レジリエンスは具体化します。


段差のヒヤリハットから考える

例えば、床にできたわずかな段差で躓いた事例。

これは、

・整理が不十分だったのか
・整頓で見える化できなかったのか
・清掃で気づけなかったのか

というレジリエンスの視点で読み解けます。

ヒヤリハットは、
レジリエンス能力の“弱点発見装置”なのです。


5Sの再定義

5Sは掃除ではありません。

5Sは、

「レジリエンス4能力を鍛える基礎トレーニング」

です。

きれいな現場は安全な現場、ではなく、

変化に強い現場が安全な現場なのです。


最後に

Safety-IIは、
ルールを減らす考え方ではありません。

現場の“現実”に目を向け、
日常の成功を強化する考え方です。

そしてその出発点は、
特別な理論ではなく、

毎日の5S活動にあります。

5Sを「やらされる活動」にするのか、
「レジリエンスを育てる活動」にするのか。

その違いが、
これからの安全文化を左右します。

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