

危険感受性と冬の転倒リスク
〜「慣れ」が生む油断が事故を招く〜
昨日降った雪が、今朝の冷え込みで凍りついていました。踏みしめると「サクサク」という音がするものの、踏まれた場所はしっかりと凍結しており、一見すると何でもない道が、実は大きな危険を孕んでいます。
私は北海道・旭川に住んでいた経験があり、このような道で身体が宙に浮く形で転倒したことがあります。その経験から、こうした凍結路面では歩幅を小さくし、いつもよりゆっくり歩くことを徹底しています。また、手袋を着用し、いつでも手が使える状態を保つのは当たり前の習慣になっています。
しかし、近くの現場へ向かう作業員の多くは、ズボンのポケットに手を入れたまま歩いていました。転倒リスクを全く意識していないようなその行動に、私は思わず「危ない!」と感じました。
危険感受性の違いが事故を招く
こうした状況を見ると、「危険感受性」の違いが事故のリスクを高めていることが分かります。私は過去の転倒経験から「こういう道は滑りやすい」と強く認識し、慎重な歩行を心がけています。しかし、同じ道を歩く作業員たちは、そのリスクを十分に感じていないため、無防備なまま歩いてしまうのです。
例えば、次のような違いが考えられます。
- 危険感受性が高い人(私のように転倒経験がある人)
- 路面状況を注意深く観察する
- 小さな違和感にも敏感に反応する
- 転倒時のリスクを考え、手を自由にしておく
- 危険感受性が低い人(転倒経験がない・軽視している人)
- 普段通りに歩いてしまう
- ポケットに手を入れたまま、無防備な状態で移動する
- 事故が起こるまで「自分は大丈夫」と思い込んでいる
この違いは、経験の有無や過去の成功体験・失敗体験によって生まれます。そして、「自分は転ばない」という思い込みが、事故の発生を加速させるのです。
ポケットに手を入れて歩く危険性
雪道でポケットに手を入れて歩くことは、以下の理由で非常に危険です。
- バランスが取れない
- 転倒時にとっさに手をつけず、後頭部を強く打つ危険がある。
- 衝撃を吸収できず、大ケガに繋がる可能性が高い。
- 反応が遅れる
- 足が滑った瞬間、手を出そうとしても間に合わない。
- 無意識にポケットの中で手を握ってしまい、さらに動作が遅れる。
- ポケットが引っかかるリスク
- 突然転倒したとき、ポケットに入れた手が引っかかり、腕を傷めることもある。
こうしたリスクを知っている人なら、ポケットに手を入れて歩くことはしないでしょう。しかし、危険感受性が低い人にとっては、「ただの寒さ対策」として無意識にやってしまう行動なのです。
危険感受性を高めるために
では、どうすれば危険感受性を高め、事故を防ぐことができるのでしょうか?
1. 体験を通じた教育
危険を実感するには、実際の体験が最も効果的です。例えば、以下のような「疑似転倒体験」を取り入れることで、危険への意識を高めることができます。
- 凍結した床(例:コンパネに防水スプレーを撒く)を使った歩行体験を実施し、どのように滑るのかを実感する。
- 転倒時の衝撃をシミュレーションし、手をつけないとどれほど危険かを体感する。
2. 具体的な指導とルール化
単に「ポケットに手を入れるな!」と指導するのではなく、「なぜそれが危険なのか?」を具体的に説明し、ルール化することが重要です。
例:
✅ ポケットに手を入れず、常に手を自由にしておくこと
✅ 歩幅を小さくし、ペンギン歩きのように歩くこと
✅ 滑りにくい靴(アイススパイク付きなど)を着用すること
3. 事故報告とヒヤリ・ハットの共有
転倒事故やヒヤリ・ハット事例を共有し、「実際にこんな事故が起こった」と伝えることで、危険を身近なものとして認識させることができます。
特に、「自分は転ばない」と思い込んでいる人には、他人の事故事例が効果的です。
まとめ
雪道での転倒リスクは、「知っているか・知らないか」で大きく変わります。私は旭川での転倒経験から慎重に歩くようになりましたが、経験のない人は無防備なまま歩いてしまいます。このように、危険感受性の違いが、事故を引き起こす原因となるのです。
「危険だから気をつけろ!」では伝わらない。
まずは、「なぜ危険なのか?」を理解し、適切な対策を取ることが重要です。
冬の転倒事故を防ぐために、危険感受性を高める取り組みを始めてみませんか?