濵口労働安全コンサルタント

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心理的安全性3 心理的安全性の始まり

『心理的安全性』という言葉を聞かれたことのある方も多くなってきたのではと思います。読者が選ぶビジネス書グランプリ2021「マネジメント部門賞」を石井僚介氏の「心理的安全性のつくりかた」が受賞しました。私も読ませていただきました。このように取り上げられるのは、Googleが心理的安全性を取り上げたことから興味を持たれた方が多くなり広がりを見せました。では、心理的安全性とは、なんぞやという話から始めたいと思います。                                         『心理的安全性』は、ハーバード・ビジネススクールのエイミー・C・エドモンドソン教授が博士課程1年の学生時代の経験から始まります。チームでの複数の病院における医療ミスについての調査に加わり、チームワークが医療ミスにもたらす影響について調べていました。

チームには医師、看護調査官が含まれ、人的ミスの判定、カルテの再確認、治療に当たる人々からのインタビューを実施し、チームごとのミス率を算出するなど、データ収集活動は独自性が保たれた調査でした。エドモンドソン教授は、アンケート調査を行うとともに、医師、看護師、スタッフのチームメンバーがどのような仕事をしているかを、時間をかけて観察を行いました。実験当初は、最も高い成果を上げるチームは最もミスの少ないチームだと仮説を立てていたのですが、しかし、結果は驚くほど違っていました。集められたミス率のデータとアンケート調査の統計分析を始めたところ、ミス率とチームの有能さの程度との間には相関関係があることがすぐに分かりました。しかし、その相関関係は予想とは真逆の相関であり統計的にも有意でした。優秀なチームほどミスが多かったのです。

医療はチームで行うものであり、良いコミュニケーションが取れている優れたチームの方が、ミスが増えるのは道理に適っていないはず、では、なぜこのような結果になったのか、有能なチームはミスの数が多いのではなく、報告する数が多いのではと考え、今までの経緯を知らない研究助手を雇い、チームの観察行うことにしました。

研究助手は、観察とインタビューを行い、人々が「ミスについて話せる」と感じるかはチームによって大きく異なることに気づきました。その違いはミス率と相関していました。優秀なチームのメンバーはミスの可能性について率直に意見を出し合い、回避するための方法を見つけるケースも多くあったのです。この研究から数年後、エドモンソン教授はこの風土の違いに『心理的安全性』と名付け、医療だけでなく多くの業界における研究を行い論文としてまとめられました。

『心理的安全性』はこのような研究から始まりました。エドモンソン教授は『心理的安全性はグループレベルで存在する』とシンプルで興味深い事実があると書いています。グループの長が心理的安全性の中心に位置すると言う事になります。

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