濵口労働安全コンサルタント

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心理的安全性6 Googleの取り組み

心理学的安全性を世に広めたグーグルは、どのような取り組みを行っていたかを詳しく見ていきます。

 グーグルには様々な業務に携わる数百のチームがありますが、その中には生産性の高いチームもあれば、そうでないチームもありアメリカでも優秀な大学出身者ばかりの社員なのに、何故このような違いが出るのかを様々な角度から分析し、生産性の高い働き方を提案するために、プロジェクトアリストテレスが2012年から開始されました。このプロジェクトでは社内の分析専門家のみならず、組織心理学や社会学の専門家まで、多彩なエキスパートを集め分析作業が行われました。

 プロジェクトでは、社内の様々なチームからアンケート・観察を行い、上手くいっているチームとそうでないチームの違いを明らかにしようとしました。例えば、「同じチームに所属する社員は、社外でも親しく付き合っているか」「彼らはどれくらいの頻度で一緒に食事をしているか」「彼らの学歴に共通性はあるか」「外向的な社員を集めてチームにするのがいいのか、それとも内向的な社員同士の方がいいのか」「彼らは同じ趣味を持っているか」など、多岐に渡りアンケート・観察を行いました。しかし、社員の労働分析からは、目立ったパターンを見出すことができませんでした。生産性の高いチームなのに、片方は「社外でも仲良く付き合う友達同士」のような関係であり、もう片方は「まともに会話するのは会議室の中だけで、そこを出ればアカの他人」というような関係でした。

 成功するチームは何をやっても成功する、失敗するチームも何をやっても失敗するという「成功の法則性」について見ると、チーム編成は固定化されていないため社員は業務に応じてチームに所属します。メンバーの多くはチームを重複し、失敗のチーム、成功のチーム両方に所属することがありました。

 分析チームは、再度、組織心理学、集団心理学に関する学術論文を見なおし、そこから浮かび上がったのは「他者への心遣い、同情、あるいは配慮や共感」といった精神的な要素が重要だということでした。例えば「こんなことを言ったらメンバーから馬鹿にされないだろうか」、あるいは「リーダーから叱られないだろうか」といった不安をメンバーから払拭する。心理学の専門用語では「心理的安全性」と呼ばれる、安らかな雰囲気をチーム内に育てるかどうかが、成功の鍵だということです。

 プロジェクトチームは、真に重要なのは「誰がチームのメンバーであるか」ではなく「チームがどのように協力しているか」であり、その基本となるのが『心理的安全性』であることを見つけました。心理的安全性を土台とし相互信頼、構造と明確さ、仕事の意味、インパクトこの五つの要因が生産性の高いチームを形作ります。これは、グーグルという巨大企業にのみ当てはまるものではなく、チームで仕事をするすべての企業に当てはまるものになります。

 会議で、参加者が自分の意見を素直に口に出せる、意見を頭ごなしに否定しない、反対意見は成功への道標なのです。

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