濵口労働安全コンサルタント

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現場力を支える「経験の蓄積」――私が歩んだ建設業の軌跡

建設業に携わってきた中で、私は非常に恵まれた環境の中で多くの経験を積むことができました。その経験は、現場での問題解決能力や安全意識の向上、さらには後進の育成に至るまで、私の「現場力」を形成する大きな要素となりました。


九州での第一歩――基礎技術の習得

建設業界に足を踏み入れた最初の現場は、九州でした。ケーソンの製作据え付けや消波ブロックの製作など、土木の基礎ともいえる工事に携わり、技術を一から学びました。さらに、当時最先端だった地盤改良工事にも挑戦し、施工現場での知識を着実に深めていきました。

この経験は、現場の基礎技術だけでなく、「未知の技術への挑戦」という重要な姿勢を私に教えてくれました。


離島と大規模プロジェクト――多様な経験の積み重ね

次に経験した離島での防波堤工事や関西国際空港での築堤工事、埋立て工事では、特にチームワークと現場での柔軟な対応力が求められました。
底開バージでの工事や、当時最先端だった音波による位置測定を用いた海底測量など、技術革新の中で学んだこれらの経験は、今でも鮮明に覚えています。

広島でのオープンケーソンによる橋脚工事では、大型構造物の精密な施工方法に触れ、現場での判断力と効率性を磨きました。


転職後の挑戦――新たな道と独自の色

31歳で住友金属に転職した後は、鉄を素材とする土木製品の製作を中心に、新たな技術分野に挑戦しました。駅前ペデストリアンデッキ建設や大型照明鉄塔の工事、鋼板セル工事では製作方法の確立に関わるなど、自分の工夫や創意を発揮する機会に恵まれました。これにより、ただ現場を運営するだけでなく、技術開発やプロジェクト全体への影響力を発揮することの重要性を学びました。

中部国際空港では、測量櫓の製作据え付け工事という、当時経験者がほとんどいない難工事を担当しました。このプロジェクトを成功させたことで、未経験の分野でも自ら学び、挑戦していく姿勢がいかに大切かを実感しました。


橋梁建設と安全管理――経験を次世代に繋ぐ

橋梁建設に携わるようになってからは、現場所長として多くの現場を担当しました。特に、橋梁建設協会の安全部会や建設部会に委員として参加する中で、現場の安全意識の向上と作業効率化を推進することが重要だと考えるようになりました。

安全担当としての活動では、特別教育インストラクター資格を取得し、「協力会社作業員の能力向上が、自社現場の安全と能率に繋がる」という信念のもと、教育と指導に力を注いできました。毎月の安全パトロールや協議会への参加を通じて、現場全体のレベルアップを図るとともに、作業員一人ひとりのスキルアップをサポートしました。


私の現場力――経験が生み出す力

これまでの多様な経験を振り返ると、私の現場力は「現場での試行錯誤」と「新しい技術への挑戦」から生まれたものだと感じます。そして、この現場力を次世代に引き継ぎ、さらに発展させることが、私に課された使命だとも思っています。

建設業は「経験工学」であり、現場での学びを基盤として成長していく産業です。その中で私が歩んできた道のりは、これからの建設業を担う若手への「学びの形」として活かされるべきだと信じています。経験を伝え、現場を強くする――これが私がこれまで培ってきたもの、そしてこれからの建設業に貢献できる最大の価値だと思っています。


このように多岐にわたる経験があるからこそ、現場の重要性と経験の価値をより深く理解しています。この経験を活かし、建設業界の未来をさらに明るくするために、今後も尽力していきたいと思います。

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