濵口労働安全コンサルタント

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そのフルハーネス—安全帯!それ、命を守れる装着ですか?

 今朝、私はいつもより少し遅めに自宅を出発しました。顧問先の安全衛生協議会に出席するためです。最寄り駅へ向かう途中、ある風景が目に飛び込んできました。

流通センターの工事現場へ出勤する作業員の皆さんが、ヘルメットとフルハーネス安全帯を装着したまま、徒歩で現場に向かっていたのです。一見すると「意識の高い現場」かと思われるかもしれません。しかし、私はその装着の様子に強い違和感を覚えました。

胸ベルトの位置が腹のあたりにずれている。腿ベルトがだらりと緩んでいる。明らかに、正しく装着されていないのです。つまり、現場での装着確認がまったく行われていないということが一目で分かりました。

正しく着けなければ「命を守る道具」にはならない

 フルハーネス安全帯は、正しい手順で装着してこそ、その性能が発揮されます。胸ベルトは乳首あたり、腿ベルトはしっかりと太ももにフィットさせ指が日本はいる程度の隙間、身体に適切なテンションがかかるように調整する必要があります。これは現場における最低限の安全管理項目だと考えます。命を守るはずのフルハーネス安全帯が、装着が悪いと命を奪うものになりかねないからです。確認を怠ることは安全管理の放棄と言っても過言ではありません。

このような光景を見るたび、私は胸が痛みます。なぜなら、こうした状況を生み出している根本原因が、特別教育制度の限界にあるからです。

「知らない講師」が教えるフルハーネスの限界

 現在、フルハーネス安全帯の特別教育は義務化されています。しかし、建設現場で高所作業に携わったという現場経験がない人が講師を務めているケースも多くあります。

私自身、長年、橋梁現場で安全管理を担当してきました。高所作業のリスク、落下の怖さ、そして正しい安全帯の着用がどれだけ命を守るかを知っています。だからこそ、講習では「単に付け方を教える」のではなく、「なぜそうするのか」まで丁寧に伝えます。

しかし、現場を知らない講師では、実際の使用状況に即した指導は難しいでしょう。その結果、「講習は受けたが、実際には正しく着けられない」作業員が生まれてしまうのです。

 

教育のあり方を問い直す時期

今、私たちは本気で制度と教育のあり方を問い直すべき時期に来ています。危険が多い建設業だからこそ、特別教育が多いのは理解できますが、本当の命を守るのなら、フルハーネス安全帯ならば、装着の重要性、個人の体形に合わせた調整方法、そして、もしも落下した場合の救助方法まで教えることが必要です。単なる「法令遵守」や「資格取得のための講習」ではなく、現場の命を守るための本質的な教育と確認体制の強化が必要です。

その第一歩として、ぜひ各現場で以下の取り組みを行っていただきたいと考えます:

  • 新規入場時のフルハーネス安全帯装着確認の実施
  • 装着不良者への是正指導と再教育の徹底
  • 作業員からのフィードバックを活かした教育内容の見直し

現場は「命の現場」です。だからこそ、教育も管理も「命を守る」ことを最優先にしてほしいのです。今日、あの通勤途中の工事関係者たちの姿は、私にそのことを強く思い出させてくれました。

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