

風の中の掘削作業——「いわれる前に考えろ」ができない現場
3月27日は、朝の出勤時に見かけた現場での「安全帯の装着不備」について書きましたが、実は帰り道にも、見過ごせない光景を目にしました。
同じ流通センター近くの建設現場で、仮囲いの内側でバックホーによる掘削作業が行われていました。時刻は夕方。空は曇り、そして非常に強い風が吹きつけている状態です。
そんな中、バックホーのバケットから土砂が降ろされると、強風にあおられて粉じん状の細かい砂が歩道へと舞い上がり、飛んできたのです。たまたま私の前を歩いていた若者は、文字通り砂まみれになっていました。目をこすりながら立ち止まる姿が忘れられません。
見ていないのか、見えていても気づけないのか
この状況、バックホーのオペレーターには見えていたはずです。仮囲い越しでも、風が強いことは分かるはずですし、バケットから落ちた土が風で飛ぶことくらい、予想がつかないわけがありません。
では、なぜ止めなかったのか。なぜ飛散防止の水撒きも、作業調整もされていなかったのか。
答えはひとつ――「思考が停止している」からです。
現場で必要なのは、指示を待つだけの人ではない
私は、その後すぐに現場の関係者へこの状況を伝えました。しかし、本来は誰かに指摘される前に、現場自身が気づかなければならないのです。
- 風が強ければ、作業方法を再検討する
- 周囲に歩行者がいれば、飛散対策を講じる
- 少なくとも、風下への影響を確認する
これらは「言われたからやる」のではなく、「現場で考えて動く」べき基本の行動です。こうした当たり前ができていない現場が、いざというときに重大災害を引き起こすのです。
「人に迷惑をかける作業」は、作業ではない
作業員の安全だけでなく、通行人への影響も考慮するのが、都市型建設現場の基本です。「仮囲いの中だから」「歩道とは区切られているから」といった考えで外部への配慮を欠くことは、安全だけでなく信頼の損失にもつながります。
現場で働く私たちは、技術者である前に、社会の一員です。だからこそ、思考を止めず、「自分だったらどう感じるか」を考える視点を持ってほしい。これは単なる安全対策ではなく、仕事に対する姿勢の問題です。
風の強い夕暮れ、土砂をかぶった若者の後ろ姿を見ながら、私は強く思いました。「誰かが見ている」ではなく、「自分が見る」。そうした現場であってほしいと。