濵口労働安全コンサルタント

ブログBlog

元請圧力か?建設業の未来を考える

建設業の現場で働く皆さんにとって、「週休2日」という言葉はまだまだ遠い現実なのでしょうか。公共工事では進んでいる週休2日の取り組みも、民間工事では形ばかりで、現実は依然として突貫工事の嵐。まるで昭和の建設業のように、労働者の負担が増えるばかりです。このままでは、建設業が未来に生き残ることはできないでしょう。

確証バイアスが現場を覆う?

ある現場で感じたことがあります。それは、悪い点ばかりが目についてしまい、良い点が全く見えないという現象です。もしかすると、私自身も確証バイアスに陥っていたのかもしれません。しかし、それを差し引いても、その現場では次のような問題が目立ちました。

  • 週休2日どころか、日曜日まで作業をしている
  • 工期に追われ、作業員の休息も満足に取れない状態
  • 安全管理がおろそかになり、不安全行動が見受けられる

こうした状況が続けば、現場で働く人たちの心身がすり減り、いずれ現場の力は失われてしまうでしょう。

建設24年問題の意義を忘れずに

建設24年問題の目的の一つは、建設業に従事する人々が「普通の生活」を送れるようにすることでした。
「建設業も普通の生活ができますよ」というメッセージは、未来の労働者たちに希望を与えるものでした。しかし、現在の現場の実態を見ると、その意義がどこかで薄れているように感じられます。

週休2日の導入は、単なる労働環境改善の話ではありません。それは、建設業が魅力ある産業として次世代に引き継がれるための最低条件です。それが達成されない限り、若い人々が建設業に目を向けることは期待できません。

元請けの責任:工期と工費を正当に確保する

建設業が未来に生き残るためには、元請け企業が受注時に「週休2日で実現可能な工期と工費」を確保する責任があります。

なぜこれが重要なのか?

  • 労働者の疲弊防止
    休息が取れない現場では、労働災害や作業ミスが増えるリスクが高まります。適正な工期と休息を確保することで、安全性が向上します。
  • 業界のイメージアップ
    若者にとって「働きやすい職場」が建設業に見えてくることで、就職希望者が増加する可能性があります。
  • 長期的な持続性
    無理な工期・工費の受注を続けていては、元請け企業自身も持続可能な経営が難しくなります。

現場の声を活かす経営へ

現場に足を運び、作業員の声を聞くこと。これが本当の意味での「現場力」です。現在、ITツールなどを活用した効率化が進んでいますが、これも「使う人間の能力」次第です。ただ効率を追い求めるだけではなく、基本である現場の実態を知り、適切な判断を下す力が重要です。

まとめ:未来のために今できること

このまま現状が続けば、建設業は確実に衰退していきます。誰も働きたがらない、魅力のない産業にしてしまう原因を作っているのは、私たち自身です。

建設業の未来を守るために、今すぐ始められることは次の3つです。

  1. 元請け企業が適正な工期と工費を確保する
    週休2日を実現するためには、受注時の交渉から意識を変える必要があります。
  2. 現場力を高める
    段取り八分を徹底し、現場を効率的かつ安全に運営する力を磨きましょう。
  3. 労働者の声を尊重する
    現場で働く一人ひとりが安心して働ける環境を整えることが、業界の魅力を高める第一歩です。

建設業は、私たちの生活に欠かせない産業です。その未来を守るために、今こそ行動を起こしましょう。そして「普通の生活」を築ける業界であることを証明し、次世代に繋げていく責任を果たしましょう。

お問い合わせはこちら
メール会員申し込みはこちら