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【ヒューマンエラーを理解しよう①】人のミスが事故を引き起こす本当の理由

こんにちは。濱口労働安全コンサルタント事務所です。
今回から、心理学の視点を取り入れた初心者向けシリーズをスタートします。第1回のテーマは「ヒューマンエラー」です。

ヒューマンエラーとは?

「ヒューマンエラー」という言葉、聞いたことがありますか?
簡単に言えば、人が犯すミスのことです。工場や建設現場、オフィスなど、どんな仕事の場でも人のミスが原因で事故や災害が起きることがあります。これを「人が悪い」「もっと注意しろ」といった指摘で片付けてしまうのは簡単です。ですが、それだけで問題は解決しません。

実は、ヒューマンエラーは 「結果」 であり、それを引き起こす 「原因」 が必ず存在します。その原因を理解しない限り、同じような事故が繰り返されてしまうのです。


ヒューマンエラーの具体例

たとえば、ある工場でこんな事故が起きたとします。

  • 事故の内容
     作業員Aさんが機械の停止ボタンを押し忘れたことで、手を巻き込まれる事故が発生。

事故の報告書には「作業員Aの不注意が原因」と書かれ、Aさんは「もっと集中しろ」と叱られました。これで本当に問題は解決するでしょうか?


ヒューマンエラーの背景を探る

事故の背景を少し深掘りしてみましょう。

  • 作業環境の問題
     ボタンが目立たない位置にあり、作業中に見逃しやすい。
  • 作業負担の問題
     Aさんはその日、他のスタッフが欠勤したため一人で3人分の仕事をしていた。
  • 心理的な問題
     Aさんは焦りや疲れから、注意力が低下していた。

このように、Aさんの「押し忘れ」というミスの背景には、さまざまな要因が関わっているのです。叱るだけでは、同じ状況になればまた誰かがミスをしてしまいます。


ヒューマンエラーを心理学で考える

心理学では、ヒューマンエラーの原因を理解するために「人の心の働き」を分析します。例えば、次のような視点が役立ちます。

  1. 注意の限界
     人は同時に多くのことを考えたり、注意を払ったりするのが苦手です。作業が複雑になるほど、ミスが起きやすくなります。
  2. 習慣と油断
     毎日繰り返している作業ほど、無意識に行う傾向があります。そのため、見逃しや手順の省略が発生しやすくなります。
  3. 心理的ストレス
     焦りや疲れ、プレッシャーは注意力や判断力を大きく低下させます。

これらを踏まえれば、ヒューマンエラーの多くは「個人の注意不足」ではなく、「環境や仕組みの問題」によるものだと分かります。


次回予告:注意するとは?

ヒューマンエラーを注意不足で片付けられるのか?人間の認知とは、どこまで注意できるのか。認知心理学から注意について見ていきます。


ヒューマンエラーを防ぐことは、安全で快適な職場を作る第一歩です。心理学を活用して、より良い環境を一緒に考えていきましょう!

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