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バイアスについて
バイアスには現在、心理学や認知科学の研究の進展により200種類以上が報告されています。ただし、分類の仕方や研究者によって若干の違いがあります。これらの中でも、ヒューマンエラーに特に関連すると考えられるバイアスは、多くのケースで具体的なリスク要因となります。以下、ヒューマンエラーと関連性が高いと考えられる主なバイアスをいくつか挙げます。
ヒューマンエラーに関連する主なバイアス
- 代表性バイアス(Representativeness Bias)
- ある出来事が典型的な例に近いと感じると、実際の確率やリスクを無視して判断してしまう。
- 例: 「過去に似た作業で事故がなかったから、今回も大丈夫だろう」と誤解する。
- 確証バイアス(Confirmation Bias)
- 自分の信念や仮定に一致する情報だけを集め、矛盾する情報を無視する。
- 例: 「この作業方法で問題がなかった」と考え、潜在的な危険要因を無視する。
- 利用可能性ヒューリスティック(Availability Heuristic)
- 記憶に残りやすい出来事(例: 目立つ事故)に基づいてリスクを過大評価または過小評価する。
- 例: 最近の事故を過度に恐れ、他のリスクを軽視する。
- 正常性バイアス(Normalcy Bias)
- 異常な状況でも「これまで通り大丈夫だろう」と考え、適切な対処を怠る。
- 例: 緊急時に避難の遅れや適切な判断ができない。
- 過信バイアス(Overconfidence Bias)
- 自分の能力や知識を過大評価する。
- 例: 作業経験が豊富な人が、「自分はミスをしない」と過信して安全確認を省略する。
- アンカリング(Anchoring Bias)
- 最初に提示された情報(アンカー)に引きずられて判断を誤る。
- 例: 初めの作業指示に固執し、変更が必要でも柔軟に対応できない。
- 希少性バイアス(Scarcity Bias)
- 時間や資源が限られているときにリスクを無視して急いで行動する。
- 例: 締め切りに追われ、安全手順を飛ばしてしまう。
ヒューマンエラーに関連するバイアスの割合
200以上あるバイアスの中で、作業現場でヒューマンエラーに直接または間接的に関わるものは20~30種類と考えられます。ただし、これらは業務内容や環境により異なるため、現場ごとの具体的なリスク要因を評価することが重要です。