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アスベスト除去作業における安全対策の徹底を
令和7年4月17日、大阪市内でアスベスト除去作業中に悲しい事故が発生しました。女性作業員1名が死亡し、男性作業員2名が病院へ搬送されるという痛ましい事態です。報道によれば、有機溶剤を吸い込んだことが原因とされていますが、詳細な状況についての情報はまだ限られています。
この事故が示すのは、アスベスト除去作業における安全管理の重要性と、それがいかにして守られなければならないかという基本の再確認です.
アスベスト除去作業の基本的な安全対策
アスベスト(石綿)は、吸入により重篤な健康被害を引き起こすことが知られており、特に除去作業中は厳格な安全管理が法令でも義務付けられています。基本的な対策として、以下の措置が求められます。
- 作業区域の完全密封(隔離)
- 負圧除塵装置を設置し、アスベスト繊維の飛散を防ぐ。
- 出入口にはエアロック構造の前室を設置。
- 作業員の個人防護具の徹底
- 防護服(使い捨て型)を着用。
- 全面型防毒マスク(有機ガス・粒子用フィルター付)を使用。
- 二重手袋、長靴カバー、テープによる隙間の密閉も必要。
- 作業中の換気とモニタリング
- 換気装置の常時稼働。
- 作業空間内の濃度をリアルタイムでモニタリング。
- 使用物質の確認と管理
- 有機溶剤等の併用時はMSDS(安全データシート)に基づき、必要な防護対策を追加実施。
なぜこのような事故が起きたのか?
現時点では事故の詳細が明らかになっていませんが、有機溶剤の取り扱いに不備があった可能性、換気設備の不備、または防護具の使用に不適切さがあった可能性が考えられます。アスベスト除去作業において有機溶剤を併用することはまれですが、例えば接着剤の除去や仕上げ処理等で使用されることがあります。
このような場面では、通常のアスベスト対策に加えて、有機溶剤用の換気措置やマスクフィルターの種類の適合確認が必要です。
顧問先の取り組み事例
私が顧問を務めている企業でもアスベスト除去作業を請け負っていますが、安全確保のため以下のような徹底した措置を実施しています。
- 作業前には作業計画書とリスクアセスメントを作成し、労働基準監督署への届出も厳守。
- 作業区域はビニールシートによる完全密閉と負圧装置の設置。
- 作業員は全身防護服・全面型防毒マスクを着用。
- 使用する薬剤はすべて事前に確認し、必要に応じて追加の防護対策を実施。
最後に
アスベスト除去作業は、高度な専門性と厳格な安全管理が求められる危険作業です。今回の事故は、ひとつの油断や見落としが命に関わるという現実を改めて突きつけるものであり、決して他人事ではありません。
今後、詳細な事故原因の調査結果が公表されることが望まれますが、それを待つことなく、すべての関係者が今一度、自身の作業と管理体制を見直す必要があります。