濵口労働安全コンサルタント

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労働災害を経験して リフレーミング

 静岡での橋梁橋桁落下事故、東京八重洲のビル鉄骨落下事故と日本の建設業界として大きな事故が続きました。橋桁落下事故は事故調査報告書が国土交通省静岡国道事務所のホームページで公開されており見ることが出来ます。八重洲ビル鉄骨落下事故については、元請けの大林組が支保工の強度不足を届けています。このような大きな労働災害を見るたびに、安全意識をどのように高めていけばいいのか考えさせられます。
 私はたぶん、かなり稀有な経験の持ち主だと思います。労働災害を一度も経験したことが無い人が多くなっている中で、自身が労働災害を経験しています。もう、20年前になります。福岡都市高速の現場で指先を切断する事故を経験しました。左手薬指の指先15㎜ほどを切断しました。元請け職員として現場管理を行う現場での事故でした。旗日と言われる祝日に箱桁の添接板からサービスボルトを外して仮ボルトへ取替えをしていた時、ナットがとも回りしていたのが目に入り、ナットが回らないように押さえていた時に、添接板が外れた衝撃で指が挟まれ先端を切断する事故でした。
 直ぐに指先が無いことは理解でき、指の付け根を止血し同僚が運転する車で救急病院に向かいました。現場から歩いて行ける距離に病院はあったのですが、休日で担当医が不在のため、少し離れた病院へ。現場事務所から持ってきたタオルを巻き、切断した指先の入って軍手の先を持って病院へ、看護婦さんはすごく冷静に、『切断した指を出してください』軍手を振って指先をトレイに出し、接着手術希望ですかと言われ、即決でお願いしました。再接着手術以外にアルミホイル療法と言われる方法があるとのこと。

 労働災害を経験して、現場担当の元請け職員として、すぐに浮かんだのが、やっちまった、明日からの現場の段取り、現場にみんなに申し訳ない、等でした。家族への連絡は手術室に入る前に電話をしました。妻も仕事で家には高校生の長女と小学生の長男、電話に出たのは長女で『現場で事故にあい指を切断したので今から手術に入る。終わったらまた電話する』と話しました。長女は自体が飲み込めていなかったようでしたが、本人が電話しているので慌てることもありませんでした。手術は2時間程度で終わり初日のみICUの病室へ、無事に手術が終わった旨の連絡を家にすると、妻からお母さんに明日来てもらって私は福岡へ行くと、入院の手続き、その他衣類などは福岡支店の営業担当が全て行ってくれていましたが、ここでリフレーミングです。

 事故の見方はそれぞれ変わる、特に家族は大きく変わることです。リフレーミングは見方を変えることです。事故を家族というフレームを通してみると、『働けなくなったら』『完治するの』『後遺症は』など私が事故に対して考えたことと全く変わってきます。ものの見方は一つではありません。いろんな角度、方向から見ることが大切です。リフレーミングを普段からすることで家族はどのように考えるのだろう、こういう見方も出来るよな、考え方にいろいろな道筋が出来てきます。

 この労災事故を経験し、安全へのイメージは大きく変化しました。自分の身を守る、それは家族を守ることにつながる。作業する作業員の命を守ることは、多くの家族を守ることにつながります。安全はやりがいのある仕事だと思います。

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