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400トンの錘は、なぜ残されたのか

ブログ

2026.05.02

― JFEアンローダー解体重大災害から考えるリスクアセスメント ―

2026年4月7日、神奈川県川崎市の
JFEスチール 東日本製鉄所(京浜地区)において、アンローダークレーン解体工事中の重大災害が発生しました。

公表資料によると、設備の一部である約400トンの円柱状のおもりが落下し、その上部で作業していた作業員らが約35メートル転落。複数の死傷者が発生する極めて重大な事故となりました。

事故原因は現在も調査中であり、警察は業務上過失致死傷の疑いを視野に捜査を進めています。


リスクアセスメントの基本から見た最大の疑問

今回の事故で、私が最も疑問に感じたのは、

「なぜ400トンもの錘を残したまま解体を進めたのか」

という点です。

リスクアセスメントにおいて、まず確認すべき最も基本的なハザードは

  • 高さ
  • 重さ

です。

今回の現場には、

  • 約35メートルという高所
  • 約400トンという超重量物

という、重大災害に直結する二大ハザードが存在していました。


危険を減らすのが安全管理の原則

安全管理の基本原則は、

「危険を見つけること」ではなく
「危険を減らすこと」

です。

であるならば、本来最初に検討されるべきは

  • 錘を先に撤去できないか
  • 高所作業を減らせないか
  • エネルギーを小さくできないか

という方向です。

しかし今回の事故では、
最大の危険源を残したまま作業していた可能性があります。


重機を載せていたことへの違和感

さらに報道では、

約400トンの錘の上で破砕用重機を使用していた

ことも明らかになっています。

これは単に「作業していた」というだけではありません。

重機が加わることで、

  • 自重による荷重増加
  • 作業時の振動
  • 荷重の偏り
  • 動的荷重の発生

といった、追加リスクが発生します。

つまり今回の現場は、

危険を減らすどころか、リスクが積み重なっているように見える状態

だったのです。


警察も「通常ではない作業方法」と見ている

報道によれば、警察関係者からは

「通常、おもりの上で足場を組んで作業することはあまりない」

との見方も示されています。

もちろん、現時点では工法の妥当性を外部から断定することはできません。

しかし少なくとも、

一般的な施工方法とは異なる特殊な手順であった可能性

は否定できません。


協力会社提案であっても責任は元請にある

報道では、この工法は協力会社からの提案を採用したとされています。

しかし、ここで重要なのは、

施工計画を作成し、リスクアセスメントを実施し、最終判断を行う責任は元請にある

ということです。

提案したのが誰であれ、

採用した以上、その責任は施工管理者にあります。


今後問われるべきこと

現時点で事故原因は不明です。

しかし今後、明らかにされるべき本質は

「なぜ危険を減らす方向ではなく、残す方向の施工計画となったのか」

この一点だと私は考えています。


明日の現場のために

今回の事故は、特殊な大型設備の解体事故として片付けるべきではありません。

私たちの現場でも、

  • 「このくらい大丈夫だろう」
  • 「今のやり方の方が早い」
  • 「手間がかかるからそのままで」

という判断で、危険を残したまま作業していないでしょうか。


最後に

安全とは、

危険を見つけることではありません。
危険をどう減らすかを考えることです。

今回の事故は、
その原点を改めて私たちに問いかけているように思います。

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