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静岡橋桁落下事故調査報告書から(その2)
※図は事故調査報告書より
落下状況から抽出される落下要因②
降下作業の過程で橋桁が海側に10㎝~20㎝変異した要因(想定)
P4橋脚における、降下作業の過程で橋桁が海側に変異した要因として、上記の可能性が考えられる。なお、複数の要因が複合的に作用して生じた可能性が考えられる。
【解説】
- 海側への死荷重の偏芯
今回落下した橋桁には、海側に拡幅用の桁及び耳桁が取り付けられており、地組の状態から海側に重心が寄っていた。
- 勾配
P4橋脚に設計段階で海側に2%の勾配が設けられていた。また、ここでは指摘されていないがP4橋脚はT型橋脚であり全荷重が載って設計通りになるが、今回の桁横取りに橋桁の荷重が積載され海側に傾いていたものと考えられる。
山側調整装置の水平ジャッキで押したが動かなかった要因(想定)
山側調整装置の水平ジャッキで押したが動かなかった要因としては、上記の例などの可能性が考えられる。なお、複数の要因が複合的に生じた可能性も考えられる。
【解説】
- 調整装置(フネ)の内側表面は摩擦を軽減する形状となっているが、セッティングビームは支圧板をかましており摩擦はフネが極端に低く滑ることは考えにくい。
- 垂直ジャッキには桁の重量がかかっており、水平ジャッキは摩擦が軽減されるフネを使用し動かすため水平ジャッキの推力は小さく滑ることは考えにくい
- サンドルが高く積まれていた場合、サンドルの撓りは考えられるが、サンドル自体は井桁に1mサンドルが組まれており撓ることは考えにくい
- レバーが1.6tであり、水平ジャッキに負ける。また、作業者が確認するため、効いていた場合は緩めることが考えられる
- ⑥⑦⑧が複合的に作用したものと考えられる。特に⑤は偏芯しているため水平ジャッキに反力として効いた可能性、⑥海側ジャッキが山側と同じ方向に設置されていなかったことが大きく作用したのではないかと考える。