濵口労働安全コンサルタント

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一般建設工事と公共工事との差

 建設業24年問題、建設業の安全問題、同じ建設工事ではあるが雲泥の差がそこにある。前職は公共工事が主体の会社であった。国交省、地方自治体、NEXCOの工事を受注していた。安全担当として24年問題には早期に取り組んでいた。職員の有給取得、協力会社にはこの問題の解決策について、話し合う機会を持ち、日給月給制から月給制への移行を進め、作業員の多能工化を進めるべく、安全教育では取得することが出来る特別教育を実施し、能力向上に努めてきた。会社幹部も協力会社あってこその建設会社であることを認識し、能力向上に対する支援は惜しまず行ってくれた。公共工事は最終的な点数を如何にとるか、そのためには災害ゼロは大前提であり、仮設設備についても使いやすい設備を心掛けていた。安全パトロールにおいても指摘の多くは仮設設備となっていた。いかにして作業性を上げるか、効率化について考慮しつつ安全を担保するためには、作業環境整備が重要であった。

 退職し、3年間大阪大学大学院で心理学から安全を学びつつ、週の3分の1は安全コンサルタントとしての仕事を行ってきた。大学院卒業後はフルの安全コンサルタントとして約3割は安全パトロールを行っている。民間の一般建設工事を見る機会が増えている。公共工事とどうしても比較してしまうが、24年問題に取り組んでいる企業はかなり少ない、地元ゼネコンと言われる会社でも取り組んでいる会社は存在する。そのような会社は従業員も女性を採用し現場に配置しているような会社であるが、本当にごくわずかである。24年はもうそこまで来ているが、問題を問題と認識しているのか疑問である。この場でも良く話す自宅近くの流通センターの工事は準大手建設会社が2年前の造成工事から施工を担当しているが、土曜日を休むことはほとんどない。24年問題どこ吹く風である。

 24年問題は、単に労働時間の問題ではない。建設業が若者に見向きもされない現状をいかにして変えるか、そのような問題も含まれている。大手建設会社は職員を代休などで休ませるなどの方法を採用しているかも知れないが、現場作業員は休みなしに働いているであろうと考える。

 仕事をさせてやっていると考えるような会社が未だに多いのか、元請会社は仕事をしていただいている、自分たちは何もできない、ただ管理を・・・作業員が進めやすい工程を引き、その工程を守るべく段取りを行うのが元請の仕事。そのために24年問題を真しに受け止め作業員の地位向上に努め、新しい作業員が入ってくる建設業を目指すことが大切です。

 公共工事の多くは週休2日になっていても、一般建設工事が足を引っ張ている現状では、建設業に明るい未来はありません。

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