安責者教育(建設2024年問題)
顧問先企業が毎月1回協力会社の職長のレベル向上を目指して安責者教育を行っています。建設業における安責者の役割は年々大きくなっています。顧問先企業では一現場に一人ないし二人の職員配置となり職長の能力向上は現場運営では欠かせないものです。教育内容は特別教育の実施、能力向上教育の実施のほか、心理学からのヒューマンエラー、レジリエンス、心理的安全性など多岐にわたります。安全顧問ではありますが、工程の組み方、建設業法についてなども基本的な教育も併せて実施しています・
今回は、約3か月後に迫った建設24年問題を取り上げ、それまでに必要な36協定についてお話をしました。建設24年問題は私が前職時代に始まり5年の猶予期間が終わる令和6年4月1日までには準備をしなければなりません。今回話した内容は5年前に前職の協力会社に対して話していた内容になります。
建設24年問題については、国交省発注工事などの公共工事では週休2日制を取り入れ対策を行う姿勢を見せていますが、一般建設工事では未だに土曜日は全て作業を行っている現場が多くあります。発注企業の問題と捉えるか、受注する元請けの問題として捉えるかは別にして、建設業の在り方を真摯に考えずに利益優先の企業が多く、衰退の一途をたどっています。自分で自分の首を絞めることを早く認識していただきたいと思います。
今回の安責者教育では厚生労働省の資料を基にお話をしました。
労働時間は労働基準法によって上限が定められており、労使の合意に基づく所定の手続きをとらなければ、これを延長することはできません。
労働基準法では、労働時間は原則として、1日8時間、1週40時間以内とされておりこれを『法定労働時間』と言います。
休日は原則として、毎週少なくとも1回与えることとされ、これを『法定休日』と言います。
法定労働時間を超えて労働者に時間外労働をさせる場合や法定休日に労働をさせる場合には
●労働基準法第36条に基づく 労使協定(36(サブロク)協定)の締結が必要
●36協定の所轄労働基準監督署長への届出
が必要になります。
36協定では『時間外労働を行う業務の種類』『時間外労働の上限』などを決めます。
時間外労働及び休日労働を適正なものとすることを目的として、36協定で定める時間外労働及び休日労働について留意する事項に関して策定されたガイドラインがあります。36協定締結に当たりガイドラインを確認ください。
時間外労働の上限規制
時間外労働の上限規制については、働き方改革関連法による改正後の労働基準法により法定化され平成31年4月1日(中小企業令和2年4月1日)から施行されています。建設事業については、時間外労働の上限規制の適用が猶予されていますが、令和6年4月1日から適用されます。(運送業・医師も同様です)
時間外労働の上限は原則として月45時間・年360時間、臨時的な特別の事情(36協定)が無ければこれを超えることが出来ません。
36協定を締結しても以下を守ることが求められます。
●時間外労働が年720時間以内
●時間外労働と休日労働の合計が付き100時間未満
●時間外労働と休日労働の合計について、2~6か月平均80時間以内
●時間外労働が月45時間を超えることのできるのは年6回
労働基準法第33条第1項の「災害その他避けることのできない事由」に該当する場合には、労働基準監督 署長に許可申請等を行うことにより、36協定で定める限度とは別に時間外・休日労働を行わせることが できます。その場合、時間外労働の上限規制はかかりません。
先ずは36協定を労使間で結びましょう。