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安全に大手、中小は無い
近年の建設業界では、職人だけでなく管理者の人手不足が深刻な課題となっています。この問題は、大手建設会社でも例外ではありません。大手企業は、人材派遣や中途採用などのさまざまな手法で人材確保に努めていますが、経験豊富な人材を確保するのは容易ではありません。
建設業界に40年以上携わった経験から言えることは、建設業ほど「経験値」が重要な業種は他にない、という点です。経験値によって、現場での対応力や問題解決力が大きく変わります。たとえ職歴に華々しい工事経験が書かれていても、実際のスキルや対応力が伴わなければ、それは「絵に描いた餅」に過ぎません。
大手建設会社であっても、この傾向は同じです。特に現場経験が乏しい管理者や技術者が増えていることは、大手の安全力や技術力が低下している一因となっています。一方、中小企業では、管理者が自ら作業にも携わる機会が多く、現場での経験値が豊富であることが特徴です。これにより、大手元請会社が一次下請けに頼る傾向が強まっています。
安全は事務所ではなく現場から生まれる
安全管理は、事務所で立案したルールや方針だけでは成り立ちません。現場で実際に何が起きているのかを知り、その上で適切な対策を講じることが重要です。現場の声に耳を傾け、現場に根ざした安全対策を実施することこそが、事故を未然に防ぐための鍵となります。
結論として、安全は大手だから優れている、中小だから劣っている、というものではありません。どの企業であっても、現場を重視し、経験豊富な人材を育て、現場での安全を最優先する姿勢が求められています。この考え方を念頭に、日々の業務を見直していくことが、業界全体の安全性向上につながるのではないでしょうか。