濵口労働安全コンサルタント

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阪神淡路大震災から30年:震災を経験して考える土木技術者の使命

1995年1月17日に発生した阪神淡路大震災から、今年で30年を迎えました。当時、私は西宮市すみれ台に住んでおり、六甲山の北側に位置していたため、比較的被害は小さく済みました。しかし、震災の影響はその後の仕事に大きな影響を与えました。震災直後の現場や復旧工事を通じて、土木技術者としての使命について深く考えさせられる出来事がいくつもありました。

震災直後の光景:JR芦屋駅前の惨状

震災後、私はJR芦屋駅前のペデストリアンデッキの状況を目の当たりにしました。階段部分が上部のピン部分にぶら下がり、上下動と横揺れが構造に深刻な影響を与えていました。具体的には、揺れによってフックが飛び出し、戻らない状態で階段が宙吊りになっていました。支柱部分ではアンカーボルトが塑性変形しており、構造物全体にどれほどの力が加わったかを実感しました。横揺れでフックが元に戻らないくらい揺れがあった、20cm以上柱が揺れていたと考えられ、一部の柱のアンカーボルトは塑性変形し補強工事を実施しました。

阪神高速神戸線復旧工事の悲劇

また、あまり知られていない事実ですが、阪神高速神戸線の復旧工事では多くの作業員が命を落としました。これほど多くの命が失われたことから、慰霊碑が建立されるに至りました。当時、死亡事故が発生しても作業は止められることなく続けられる状況であり、命を守る重要性と復旧のスピードを両立する難しさを痛感しました。

震災に強いインフラ作りと技術者の責任

震災以降、日本では災害に強いインフラ作りが進められてきました。しかし、手抜き工事やデータ改ざんといった不正行為が後を絶ちません。これらの行為は、技術者としての誇りを失い、利益を優先するものであり、決して許されるべきではありません。

補強工事が本来の目的を果たさないケースや、不十分な設計・施工が引き起こす問題は、再び同じ惨事を招く可能性を秘めています。だからこそ、土木技術者は自分たちの仕事の重要性を改めて認識し、誇りを持って取り組むべきです。

土木技術者の使命

震災から学んだ教訓は多くありますが、私たちが忘れてはならないのは、二度と同じ惨事を繰り返さないという決意です。設計段階から施工までの全てのプロセスで品質を確保し、手を抜かず、誠実に仕事に向き合うことが土木屋としての使命です。

私たちが作り上げるインフラは、人々の命と生活を支える基盤です。その重要性を忘れず、震災で失われた命に対する敬意を胸に刻み、未来に向けたインフラ作りに貢献していきましょう。

阪神淡路大震災から30年を迎えるこの機会に、震災の教訓を振り返り、技術者としての責任と使命を再確認することが重要です。これからの時代、災害に強い社会を築くために、私たちは何ができるのか、真剣に考え続けていきましょう。

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