

【実行するレジリエンス】思いつきでは終わらせない、技術者の責任ある柔軟力
こんにちは。
今回は、私自身の経験から、「レジリエンス=思いつきを実行に移す力」という視点でお話ししたいと思います。
レジリエンスというと「困難を跳ね返す力」や「しなやかな適応力」といった印象がありますが、
現場で本当に求められるのは、
👉 “思いつき”を現実の成果に変える力
だと、私は実感しています。
■ レジリエンスとは、「学び続けて実行する力」
レジリエンスとは、ただ思いつくだけでは成立しません。
現場では、「こんなことができたら便利だ」と感じても、
それを実行に移すには知識と準備、そして理解を得る力が必要です。
若手時代には、上司に提案する場面も多くあります。
ただの“思いつき”で終わらせないために、私は常にこう考えてきました。
- これを実現するにはどれだけの費用が必要か?
- どれほどの効率改善が見込めるのか?
- どのように説明すれば上司は理解してくれるか?
そのうえで、企画書を作成し、根拠と効果を明示して説明することで、実行へとつなげてきました。
■ 現場所長になって気づいた「裁量の重さと責任」
現場所長になると、自分の裁量範囲である程度の判断と実行が可能になります。
ですが、それは単に“自由が増える”ということではありません。
むしろ、「その判断に責任を持つ力」こそが問われるのです。
レジリエンスは、考えを柔軟に変える力であると同時に、
👉 考えたことをきちんと形にするための実行力でもあります。
■ 照明鉄塔での構造変更:現場でのレジリエンス
ある現場では、2本の主塔をくの字に配置し、照明架台を取り付ける工事がありました。
この構造では、最初は主塔が後方に傾き、次に前方に傾くという重心の不安定さが問題でした。
そこで私は、主塔の上部をパイプで連結する変更設計を現場で提案し、
👉 架台を取り付けやすくし、全体の施工精度と安全性を向上させました。
■ 海上工事:観測櫓と斜杭の整合性を確保する工夫
また別の海上工事では、斜杭4本に支柱4本を正確に合わせる必要がありました。
ここでも、従来通りの方法では位置調整に時間と手間がかかる課題が見えました。
そこで私は、裏当て金具を加工しやすい構造に変更し、
👉 支柱の溶接接合をスムーズに行えるよう工夫しました。
これらは、ただ柔軟に対応するだけでなく、「どうすれば現場が良くなるか?」という具体的な設計思考があったからこそできた判断です。
■ まとめ:レジリエンスは“日常的に使っている力”
レジリエンスは、特別な場面でしか使わない力ではありません。
むしろ、
- 常に問題意識を持ち
- 解決策を考え
- 実行に移すために周囲を動かし
- 最終的に成果を生み出す
この一連の行動の中に、日常的に発揮されているレジリエンスがあります。
そしてそれは、建設業に限らず、どの業種・職種にも通じるものです。
学びを止めないこと
思いついたら、実現するために動くこと
そして、責任を持って実行すること
これらの積み重ねこそが、真のレジリエンスを形づくるのです。