

【育てるレジリエンス】40年の現場経験から見えた、柔軟に強くなる力
今回は、私自身が建設業で40年以上にわたって歩んできた経験から、
「レジリエンスとは育てていくものである」
という考えについて、お話ししたいと思います。
■ 10年ごとに変化してきた私のキャリア
私の場合、建設業界の中でも約10年ごとに役割や携わる分野が変化してきました。
土工、基礎、構造、維持管理……と、幅広く業務を経験する中で、
ひとつひとつの工種や現場で、自分の視野を広げてきたという実感があります。
この変化の積み重ねが、結果的に**「建設業という仕事を立体的に捉える視点」**を育ててくれたのだと思います。
■ 情報と実地の両輪:若い頃の日経コンストラクション
若い頃、私は**『日経コンストラクション』という土木専門誌**を個人で購読していました。
創刊当初から30代半ばまで、毎号欠かさず目を通しました。
そこから得られたものは、ただの知識ではありません。
👉 「現場の外から見た建設業界の変化」
👉 「他のプロフェッショナルたちの視点」
つまり、現場での体験と雑誌で得た俯瞰的な情報を行き来させながら、自分なりの考えを養っていったわけです。
■ 現場を見る目が育てる“感性”
今では街を歩いていても、つい現場の様子をじっくり見てしまいます。
「このやり方は工夫されてるな」
「ここは安全管理が甘いかも」
そんなふうに、良し悪しを判断する目が自然と働きます。
この“感性”は、一朝一夕に身についたものではありません。
40年以上積み重ねてきた現場での経験と、常に「なぜこうなっているのか?」と問い続けてきた姿勢が育てたものです。
■ レジリエンスは“自分で育てる力”である
私は、レジリエンスとは生まれつきの資質ではなく、「自分で育てる力」だと思っています。
レジリエンス=しなやかに困難に対応する力
その力は次のような思考と習慣によって養われていきます。
- 自分なりの考えを持つこと
- 他と比較することを恐れないこと
- 良いものは素直に学ぶこと
- 悪い点は他人事ではなく、自分にも問い返すこと
そしてそれを、日々くり返すことです。
これは、建設業に限ったことではありません。
どの業種でも、どんな仕事でも、
このような「考え方の筋トレ」を続けていけば、
確実に“その人なりのレジリエンス”が育っていきます。
■ まとめ:レジリエンスは、人生の中で育てる“筋力”
建設業で培った“現場力”は、単なる技術や知識ではありません。
それは、変化に応じて最善を探し、柔軟に対応しながら、より良い選択を重ねていく力──
つまり、レジリエンスそのものです。
そしてそれは、特別な才能でも奇跡でもない。
👉 「考え続けること」
👉 「学び続けること」
👉 「行動を変え続けること」
それらの積み重ねで、誰でも育てることができる力です。
これからの時代を生きる若い技術者たちにも、
そして異業種でがんばるすべての人にも、
私はこのことを声を大にして伝えたいと思います。