静岡橋桁落下事故調査報告書から(その1)
※図は事故調査委員会報告書より
令和5年7月6日に発生した国道1号清水立体尾羽第2高架橋の橋桁落下事故について、9月22日に国土交通省静岡国道事務所ホームページに事故調査員会報告書(中間とりまとめ)が公表された。今回の調査では、事故原因及び再発の防止について、調査、検討することを目的として行うものであり、事故の責任の所在を明らかにすることを目的に行うものではないとされている。
●橋桁落下要因分析 想定される落下状況
- P4橋脚上降下作業の過程で橋桁が海側に変位した。(図1)
セッティングビームを調整装置の山側水平ジャッキで押したが動かなかった。(図1)
- セッティングビームがジャッキ受け架台から外れた(図1)
- 海側のセッティングビームは横取用基礎梁上に落ち、山側のセッティングビームは既設桁上に落ちた。(図2)
- 圧縮点架台に大きな圧縮力が作用(図2)
- セッティングビームの取付金具のボルトが破断(図3)
【解説】
横送りが完了し、降下設備に盛替えを行い、降下作業を行っていたところ、橋桁が海側に変位した。この時点で海側と山側の荷重は測定していたと思いますが、その荷重は示されていません。先ずは、荷重を平衡に戻し、海側・山側ともに水平ジャッキを仕込んで変位の修正を行う、変位したままだと変移した海側の荷重が大きく修正が難しくなる。水平ジャッキは鉛直ジャッキと異なりジャッキボックスは摩擦係数が小さくなっており、小さな力で横に押すことが可能です。私も福岡高速の現場で、この桁より大きな桁の横送り後の水平調整で使用した経験があります。
図1 図2 図3
- P4橋脚側の橋桁が地面に落下(図4)
- P3橋脚側で橋桁がP4側に引きずられ、仮受架台、ジャッキ架台が落下、仮受架台、しゃっき受架台が弾き飛ばされた。(図5)
- P3橋脚上で橋桁が支承上に落下(図5)
- P4橋脚側の橋桁落下位置を支店に、海側方向へ橋桁が落下。
【解説】
P4側のセッティングビームを取り付けるボルトが破断し、セッティングビームが外れた事から橋桁は地上に落下した。そのため、P3側では橋桁が名古屋方向に引っ張られることになり、架台から橋桁が移動しその反動で課題はP2方向に弾き飛ばされた。架台が飛び散り橋桁は支承上に落下しもともと海側に横桁が付けられていた分偏心があり、海側に傾きながら地上に落下した。
高さはそれほど高くない橋脚ではあるが、P4側が地上に落下することで、P4側に約40㎝程度引っ張られるため、架台が引っ張られたが耐え切れずP2側に弾き飛ばされ、架台が無くなり支承に落下し偏心していた海側に傾きつつ地上に落下したものと推測される。
図4 図5 図6