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「思い出した」が、次の「忘れた」を生む ― ラプスの面白くて怖い心理学 ―

ブログ

2026.08.07

「今日は安全パトロールの日。」

いつもの仕事用カバンに加え、ヘルメットを入れたカバンも玄関に準備しました。

「よし、準備万端!」

そう思って二階から階段を降りた瞬間です。

「あっ、サングラスを忘れた。」

今日は朝から日差しが強く、メガネしか持っていないことに気づきました。

二階へ戻り、サングラスを取って再び玄関へ。

「さあ、出発!」

……と思った瞬間、今度は玄関に置いてあったヘルメット入りのカバンを持っていないことに気づきました。

危ない、危ない。

もし気付かず現場へ向かっていたら、安全パトロールなのにヘルメットがないという笑えない状況になるところでした。

これは、まさにラプス(Lapse)です。

ラプスとは、「何をするか」は分かっているのに、一時的に記憶が抜け落ちてしまうヒューマンエラーです。

今回の面白いところは、「サングラスを思い出したこと」が原因で、「ヘルメットを持つ」という元々の目的が頭の中から消えてしまったことです。

人の脳は一度に多くの情報を保持できません。

新しい情報が入ると、先ほどまで覚えていたことが押し出されることがあります。これはワーキングメモリの特徴であり、誰にでも起こる現象です。

建設現場でも、同じことがよく起こります。

工具を取りに行く途中で声を掛けられ、その対応を終えたら、本来取りに行こうとしていた工具を忘れてしまう。

書類を取りに席を立ったのに、途中で電話が鳴り、電話を終えると何を取りに来たのか忘れてしまう。

どれも珍しいことではありません。

大切なのは、「自分は忘れない」と思わないことです。

ヒューマンエラーを研究すると、人間は「忘れる生き物」であることがよく分かります。

だからこそ、安全管理は人を責めるのではなく、「忘れても大丈夫な仕組み」を作ることが重要になります。

玄関に荷物を一つにまとめる。

出発前に「ヘルメット、資料、財布、スマホ」と指差し確認をする。

小さな工夫ですが、ラプスは驚くほど減らすことができます。

今回も、出発前に気付いたから笑い話で終わりました。

しかし、現場では「ちょっとした忘れ物」が事故のきっかけになることもあります。

だから私は、自分の失敗も積極的にブログで紹介しています。

人はミスを犯します。

しかし、人は、そのミスに気付き、事故の拡大を防ぐこともできます。

そのためにも、「私は忘れることがある」という前提に立ち、最後の一確認を習慣にしたいものです。

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