
~心理的安全性が子どもの安心を育てる~
TikTokで、とても印象に残る動画を見ました。
「学校へ行きたくない」
小学生には決して珍しいことではありません。
しかし、この子どもの保護者は、
「無理をして学校へ行かせる」
という方法を選びませんでした。
だからといって、
「今日は好きなことをして遊んでいていいよ」
という対応でもありません。
学校には行く。
でも、どうしてもつらくなったら帰ってもいい。
そのための約束を、担任の先生と保護者で作ったのです。
「帰りたい」が言えない子ども
その子は、先生の前で
「帰りたい」
と言葉にすることができませんでした。
そこで考えた方法が、とても素晴らしいものでした。
折り紙に
「帰りたい」
と書き、それを先生へ渡す。
先生は何も責めません。
「もう少し頑張ろう。」
「みんな頑張っているよ。」
そんな言葉もありません。
ただ一言、
「迎えに来てもらうね。」
そう言って保護者へ連絡する。
ただ、それだけです。
子どもは「安全基地」を見つけた
この対応を続けていくうちに、不思議な変化が起こりました。
折り紙を渡す回数が減り、
やがて折り紙自体が必要なくなったのです。
学校が、
「帰りたくなったら帰ってもいい場所」
「困ったことを伝えても怒られない場所」
へと変わっていったのです。
心理学では、このような安心して自分を表現できる環境を心理的安全性と呼びます。
そして、その環境は子どもにとっての安全基地(Secure Base)となりました。
安全基地があるからこそ、人は安心して挑戦できます。
安心できる場所があるからこそ、「もう少し頑張ってみよう」という気持ちが自然に生まれるのです。
「頑張れ」は安心の後に生まれる
大人はつい、
「もう少し頑張ってみよう。」
と言ってしまいます。
もちろん励ましの言葉です。
しかし、不安でいっぱいの子どもにとっては、その言葉がプレッシャーになることがあります。
今回の担任の先生は違いました。
子どもの気持ちを否定せず、
「迎えに来てもらうね。」
と受け止めました。
つまり、
「帰りたい」という気持ちを認めたのです。
その積み重ねが信頼関係を生み、学校を安心できる場所へと変えていきました。
これは学校だけの話ではありません
私は企業で安全教育を行う中で、「心理的安全性」の重要性を何度も伝えています。
建設現場でも、
「危険です。」
「分かりません。」
「助けてください。」
この一言が言えないことで事故につながることがあります。
逆に、
「何を言っても怒られない。」
「困ったら相談できる。」
そんな職場では事故は減っていきます。
学校も職場も、本質は同じです。
安心して本音を話せる環境こそが、人の力を引き出す土台なのです。
最後に
心理的安全性とは、「甘やかすこと」ではありません。
安心して自分の気持ちを伝えられる環境をつくることです。
その安心感があるからこそ、人は一歩踏み出し、自分の力で前へ進むことができます。
今回の折り紙の話は、そのことを教えてくれる素晴らしい実践例でした。
子どもも、大人も同じです。
人は、「何を言っても受け止めてもらえる」と感じられたとき、初めて「もう少し頑張ってみよう」と思えるのです。