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「歩きスマホ」はなぜなくならないのか?

ブログ

2026.08.05

~正常性バイアスと確証バイアスがつくる危険な思い込み~

電車の駅や街中を歩いていると、スマートフォンを見ながら歩く人を毎日のように見かけます。

前を見ずに歩き、急に立ち止まった人にぶつかりそうになったり、階段や段差に気づかなかったり、自転車と接触しそうになったり…。

多くの人は、「危ない」と感じながらも、なぜ歩きスマホはなくならないのでしょうか。

心理学の視点から見ると、その背景にはいくつもの認知バイアスが関係しています。

「自分だけは大丈夫」という正常性バイアス

最も大きな要因の一つが正常性バイアスです。

正常性バイアスとは、危険な状況であっても、

「大したことは起きない」
「自分には関係ない」
「今回も大丈夫だろう」

と、危険を過小評価してしまう心理です。

歩きスマホをしていても、多くの人はこれまで事故を経験していません。

そのため、

「今日も問題ないだろう」

と無意識に考えてしまいます。

しかし、事故とは「昨日まで大丈夫だった人」が、ある日突然巻き込まれるものです。

「今まで平気だった」が危険を強くする

そこへ加わるのが確証バイアスです。

確証バイアスとは、自分に都合の良い情報だけを集めて、自分の考えを正しいと思い込む心理です。

歩きスマホを続けている人は、

  • 今まで事故を起こしていない
  • 人にぶつからなかった
  • 転倒しなかった

という経験だけを記憶に残します。

一方で、

  • 前方への注意が著しく低下していること
  • 周囲の人が避けてくれていること
  • 一歩間違えば事故だった場面

にはほとんど気づきません。

つまり、

「事故にならなかった」のではなく、「周囲が事故を防いでくれていた」

可能性があるのです。

人の注意には限界がある

認知心理学では、人の注意には限界があることが数多く示されています。

スマートフォンの画面を見るという行為は、視覚だけでなく脳の認知資源も使います。

その結果、

  • 前方の人の動き
  • 信号の変化
  • 自転車の接近
  • 車の左折
  • 段差や障害物

といった重要な情報を見落としやすくなります。

これは「注意力がない」のではありません。

人間の脳の仕組みそのものなのです。

災害時の認知心理学でも、人は危険情報を受け取っていても正常性バイアスや楽観性バイアス、確証バイアスによって危険を過小評価し、適切な行動が遅れることが指摘されています。

自動車だけではない「ながらスマホ」の危険

近年は運転中のスマホ使用が厳しく取り締まられています。

もちろん重大事故につながるため当然です。

しかし、歩きスマホも本質的には同じです。

自分がケガをするだけではありません。

高齢者や小さな子どもにぶつかれば、相手を転倒させ、大きな事故につながる可能性があります。

「歩いているだけだから大丈夫」

そう考えること自体が、認知バイアスの影響なのかもしれません。

Stop・Look・Think

私は安全教育でいつも最後にお伝えしています。

Stop(止まる)
Look(見る)
Think(考える)

スマートフォンを見る必要があるなら、一度立ち止まる。

周囲を確認する。

そして、「今、本当に歩きながら見る必要があるのか」を考える。

この数秒の行動が、自分だけでなく周囲の人も守ります。

人は誰でも認知バイアスの影響を受けます。

だからこそ、「私は大丈夫」と思った瞬間こそ、自分を俯瞰して見つめ直すメタ認知が大切です。

事故は、「注意不足の人」に起こるのではありません。

「自分は大丈夫」と思った、その一瞬に起こるのです。

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