
先日、大学時代の寮仲間6人で昼飲み会を開きました。
学生時代に戻ったような、たわいもない話で大いに盛り上がり、あっという間に時間が過ぎました。
そんな楽しい時間の中でも、私はしっかりヒューマンエラーをやらかしていました。
刺身の盛り合わせが運ばれてきたので、
「先に醤油を入れてから、小皿をみんなに配って。」
と私がお願いしました。
その後、今度はわさびを入れようと小皿を持ち上げた瞬間、
醤油が入っていることをすっかり忘れてしまい、小皿を傾けて醤油をこぼしてしまったのです。
幸い少し服に掛かった程度で済み、大きな失敗ではありませんでした。
しかし、これは安全心理学の視点で見ると、とても興味深い事例です。
なぜこんなことが起こるのでしょうか
私は、ほんの数秒前に自分で醤油を入れています。
つまり、「醤油が入っている」という知識を失ったわけではありません。
ところが、
「わさびを入れる」
という次の作業に意識が移った瞬間、「小皿には醤油が入っている」という情報が頭の中から一時的に抜け落ちてしまいました。
このような現象は、ジェームズ・リーズンが分類したヒューマンエラーではスリップと考えるのが適切です。
スリップとは、
やろうとしていることは正しいのに、実際の動作だけを間違えてしまうエラー
です。
今回は、「わさびを入れる」という目的は正しかったにもかかわらず、小皿を不用意に持ち上げるという行動をしてしまいました。
人の注意には限界がある
人は一度に多くのことへ注意を向けられません。
次の作業へ意識が向くと、直前まで意識していた情報が一時的に頭から抜け落ちることがあります。
建設現場でも同じです。
- ボルトを締め終えたと思い込み、確認を忘れる。
- 工具を持ち替えた瞬間に、安全帯の確認を忘れる。
- 次の工程を考えているうちに、足元への注意が薄れる。
どれも、「知らなかった」のではなく、注意が別の対象へ移ったことで起こるスリップです。
ヒューマンエラーは誰にでも起こる
今回の醤油事件は笑い話で終わりました。
しかし、同じメカニズムが現場では重大災害につながることがあります。
だからこそ、安全活動では「注意しろ」と言うだけでは十分ではありません。
人は必ず注意が抜ける。
だから確認する。
だから声を掛け合う。
だから指差呼称をする。
人間の特性を理解した仕組みづくりこそ、安全管理の本質なのです。
まとめ
昼飲み会でこぼした一滴の醤油から、私は改めてヒューマンエラーを学びました。
人はミスをする生き物です。
しかし、その特性を知り、仕組みで補うことで事故は防ぐことができます。
だから私は今日も、自分の小さな失敗を見逃さず、「なぜ起こったのか」を考え続けたいと思います。
その積み重ねが、安全につながると信じています。