
2:6:2の法則は本当に存在するのか?
前回は、心理学者クルト・レヴィンの「場の理論」をご紹介しました。
人の行動は、その人の性格や能力だけではなく、その人を取り巻く環境との相互作用によって決まる。
この考え方は、安全管理を考える上でも非常に重要な視点になります。
今回は、多くの企業で耳にする「2:6:2の法則」について考えてみたいと思います。
2:6:2とは何でしょうか
2:6:2とは、組織の中では自然に、
- 約2割が積極的に行動する人
- 約6割が周囲に合わせて行動する人
- 約2割が消極的な人
という構成になると言われる経験則です。
営業組織でも、学校でも、スポーツチームでも、似たような話を聞いたことがある方は多いでしょう。
もちろん、これは厳密に証明された法則ではありません。
しかし、多くの組織で似た現象が見られるため、一つの組織論として語られています。
私が不思議に思うこと
ここで、一つ疑問があります。
もし2:6:2が本当に存在するとしたら、
上位2割の人がいなくなったらどうなるのでしょうか。
実際には、多くの場合、今まで真ん中にいた人たちの中から、新しいリーダーが現れます。
では、反対に下位2割がいなくなったらどうでしょう。
また別の人が、その立場になると言われています。
つまり、
比率は変わらない。
これは、とても不思議な現象です。
能力だけでは説明できない
もし能力だけで決まるのであれば、
優秀な人がいなくなれば、組織全体のレベルは下がるだけのはずです。
しかし実際には、新しいリーダーが生まれます。
同じように、全員が積極的に働く組織になるわけでもありません。
つまり、この現象は「能力」だけでは説明できないように思えるのです。
「役割」と考えてみると…
そこで私は、
「組織の中で自然に役割が生まれているのではないか」
と考えました。
リーダー役。
支える役。
慎重な役。
しかし、ここで新しい疑問が生まれます。
もし役割だとすれば、
下位2割は、仕事をしなくてもよい役割なのでしょうか。
私は、この考え方には違和感があります。
組織に「仕事をしない役割」があるとは思えません。
では、この2割とは、一体どのような人たちなのでしょうか。
場の理論から考えると…
前回ご紹介したレヴィンの場の理論では、
人の行動は、
個人と環境の相互作用
によって決まると考えます。
もしそうだとすると、
2:6:2も、人の能力を表しているのではなく、
組織という「場」が生み出している現象
なのかもしれません。
しかし、まだここでは結論を出すことはできません。
次回は「下位2割」の正体を考えます
私たちは、つい
「上位」「下位」
という言葉で人を評価してしまいます。
しかし、本当にそうなのでしょうか。
下位2割とは、
能力が低い人なのでしょうか。
それとも、別の見方ができるのでしょうか。
次回は、この「下位2割」の正体について、心理学の視点から考えてみたいと思います。
もしかすると、組織を見る目が少し変わるかもしれません。