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心理学が教える安全文化(第3回)

ブログ

2026.08.14

「下位2割」は本当に能力が低い人なのでしょうか

前回は、「2:6:2の法則」について考えました。

そして、一つの疑問を投げかけました。

組織では、

上位2割が抜けても、新しい上位2割が現れる。

下位2割が抜けても、また新しい下位2割が現れる。

もしそうだとすれば、

「上位」「下位」とは、一体何を表しているのでしょうか。

私たちは人を評価しすぎていないでしょうか

「あの人は仕事ができる。」

「あの人は消極的だ。」

職場では、このような言葉をよく耳にします。

しかし、その人は本当に能力が低いのでしょうか。

もし能力だけが理由なら、部署が変わっただけで活躍するようになる人がいることを、どう説明すればよいのでしょう。

逆に、以前は活躍していた人が、新しい職場では本来の力を発揮できないこともあります。

つまり、人の評価は「能力」だけでは決まらないのです。

レヴィンの場の理論で考えてみる

前回ご紹介したレヴィンの「場の理論」では、

人の行動は、個人と環境の相互作用によって決まる

と考えます。

この考え方に立てば、「下位2割」という見方も変わってきます。

私は、

下位2割とは、能力が低い人ではなく、現在の環境で十分に力を発揮できていない人

ではないかと考えています。

例えば、

・入社したばかりの新人

・異動して仕事を覚えている途中の人

・失敗が続いて自信を失っている人

・相談しにくい雰囲気の中で働いている人

このような人たちは、本来の能力があっても、それを十分に発揮することはできません。

しかし、環境が変われば、その人が組織を支える存在になることは決して珍しくありません。

「人を変える」のではなく、「場を変える」

ここで、安全管理にも共通する考え方があります。

事故が起きると、

「もっと注意しなさい。」

「確認不足だった。」

と言われることがあります。

しかし、それだけで事故はなくなるでしょうか。

忙しすぎる工程。

相談しにくい職場。

報告すると叱られる雰囲気。

このような環境では、誰であってもヒューマンエラーを起こしやすくなります。

だからこそ、安全管理は「人を変える」ことよりも、「人が安全に行動できる環境をつくる」ことが大切なのです。

安全文化とは「人を育てる場」をつくること

私は、安全文化とはルールを増やすことではないと考えています。

安心して質問できる。

危険だと思ったら「止めましょう」と言える。

失敗を責めるのではなく、原因を一緒に考える。

そのような職場では、人は安心して力を発揮できます。

反対に、恐怖や叱責ばかりの職場では、本来の能力を持っている人でさえ萎縮してしまいます。

安全文化とは、人を選別することではありません。

誰もが力を発揮できる「場」をつくることなのです。

次回は「6割」が組織を変える理由を考えます

では、組織の中で最も重要なのは誰でしょうか。

私は、上位2割ではないと考えています。

本当に組織を変える力を持っているのは、真ん中にいる6割の人たちです。

この6割が、なぜ組織の未来を決めるのか。

そこには、人間が持つ「同調」という心理が深く関係しています。

次回は、認知心理学の「同調バイアス」と組織文化の関係について考えてみたいと思います。

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