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心理学が教える安全文化(第5回)

ブログ

2026.08.18

人を変えるのではなく、「場」を変える

これまで4回にわたり、安全文化を心理学の視点から考えてきました。

第1回では、レヴィンの「場の理論」を紹介しました。

人の行動は、その人の性格や能力だけで決まるのではなく、その人を取り巻く環境との相互作用によって決まる。

この考え方は、安全管理を考える上でも大切な出発点です。

第2回では、「2:6:2の法則」という組織でよく知られる現象について考えました。

そして、第3回では、「下位2割」と呼ばれる人たちは能力が低いのではなく、現在の環境で力を発揮できていない状態なのではないかという考え方をご紹介しました。

さらに第4回では、同調バイアスによって、組織の中心にいる6割の人たちが職場の文化を形づくっていることをお話ししました。

こうして振り返ると、一つの共通点が見えてきます。

それは、

人を責めても、安全文化は育たない。

ということです。

人は環境の中で成長する

職場では、事故が起きると

「注意不足だった。」

「確認を怠った。」

という言葉が並びます。

もちろん、それも原因の一つでしょう。

しかし、それだけでは同じ事故は繰り返されます。

確認しやすい仕組みだったでしょうか。

困った時に相談できる雰囲気だったでしょうか。

危険を感じた時に「止めましょう」と言える職場だったでしょうか。

事故を防ぐためには、人を見るだけではなく、「場」を見ることが必要なのです。

安全文化は毎日の積み重ね

安全文化とは、特別なものではありません。

朝のあいさつ。

仲間への声掛け。

「ありがとう」の一言。

危険を見つけた時に声を掛ける勇気。

分からないことを素直に質問できる雰囲気。

このような日々の積み重ねが、安全文化になります。

そして、その文化は一人ではつくれません。

職場全員で育てるものです。

リーダーが本当に見るべきもの

リーダーは、

「誰が悪かったのか。」

を探す人ではありません。

「なぜ、その行動になったのか。」

を考える人です。

部下を変えようとする前に、

職場の環境を見直す。

教育の方法を見直す。

コミュニケーションを見直す。

これが、安全文化を育てる第一歩です。

人は事故を起こす。しかし、人は事故を防ぐ。

私は安全教育の中で、いつもこの言葉をお伝えしています。

「人は事故を起こします。

しかし、人は事故を防ぎ、事故の拡大を止めることもできます。」

だからこそ、人を責めるのではなく、人が力を発揮できる環境をつくることが大切なのです。

レヴィンは、

「行動は、個人と環境の関数である。」

という言葉を残しました。

私は、この言葉は安全管理の本質を表しているように思います。

安全とは、ルールだけで守るものではありません。

設備だけで守るものでもありません。

そして、一人の優秀な人だけが守るものでもありません。

安全とは、人と環境が互いに支え合うことで育まれる文化です。

その文化を育てることこそ、私たち安全に携わる者の最も大切な役割ではないでしょうか。

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