
組織を変えるのは「6割」の人たち
これまで3回にわたり、レヴィンの「場の理論」と2:6:2の考え方についてお話ししてきました。
人は環境によって行動が変わる。
組織を見るときは、人を評価するのではなく、「場」を見ることが大切である。
ここまで読んでいただいた方なら、もう一つ疑問が浮かぶのではないでしょうか。
では、組織を変えるのは誰なのでしょうか。
私は、その答えは「真ん中の6割」にあると考えています。
人は周りに合わせて行動する
心理学には「同調バイアス」という考え方があります。
人は、自分一人で判断しているつもりでも、実際には周囲の人の行動や職場の雰囲気から大きな影響を受けています。
例えば、
「みんながヘルメットのあごひもを締めている。」
その職場では、自分も自然に締めるようになります。
反対に、
「あごひもを締めていない人が多い。」
そんな職場では、「自分だけ締めなくてもいいか」と考えてしまうことがあります。
これが同調バイアスです。
つまり、人は「正しいこと」に従うよりも、「周囲がしていること」に従いやすいのです。
だから6割が重要になる
2:6:2で考えると、
真ん中の6割は、職場の空気や文化の影響を最も受けやすい層だと言えます。
安全を大切にする文化があれば、安全に行動する。
危険な行動が当たり前になれば、それにも同調してしまう。
つまり、この6割は「組織の鏡」です。
だからこそ、6割の人たちがどちらへ向くかによって、その組織の安全文化は大きく変わります。
リーダーの仕事とは
リーダーは、自分一人が頑張ればよいわけではありません。
まして、「できない人」を責めることでもありません。
本当に大切なのは、
6割の人たちが自然に安全な行動を選ぶ環境をつくることです。
危険な行動を見かけたら、誰でも「危ないですよ」と声を掛けられる。
困ったことがあれば、安心して相談できる。
失敗した人を責めるのではなく、「なぜそうなったのか」を一緒に考える。
そのような職場では、安全な行動が「当たり前」になります。
そして、その当たり前が周囲へ広がり、安全文化として根付いていくのです。
SafetyⅡが目指しているもの
SafetyⅡは、「事故をなくす」ことだけを目的にしていません。
毎日、安全に仕事が終わる理由を大切にしています。
なぜ、その現場では今日も事故が起きなかったのか。
なぜ、危険に気付いた人が仲間へ声を掛けられたのか。
そこには、一人の優秀な人がいたからではなく、職場全体で支え合う文化があります。
つまり、安全とは「個人の能力」ではなく、「組織の力」なのです。
次回は、このシリーズのまとめです
レヴィンの場の理論から始まり、2:6:2、そして同調バイアスへと話を進めてきました。
最後に考えたいのは、
「安全文化とは、どのように育てればよいのか。」
人を変えようとするのではなく、人が自然に安全へ向かう環境をつくる。
そのために、リーダーは何をすべきなのか。
最終回では、これまでの内容をまとめながら、「安全文化づくり」の本質について考えてみたいと思います。