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他人のふり見て我が振り直す

ブログ

2026.09.17

― 人の動きから「次の一手」を学ぶ ―

昼食時のカフェで感じたこと

先日、昼食を摂るためにカフェへ行きました。ランチタイムですから、店内には多くの人がいて、会計にも列ができていました。

私の前に並んでいた男性は、注文するまで財布を出すことなく待っていました。そして会計の段階になってからバッグの中を探し、財布を取り出し、小銭とお札を出しました。見たところ、財布の中もあまり整理されていないようでした。

私は支払いもポイントカードもスマートフォン一台で済ませます。並んでいる間に画面を準備し、自分の順番が来れば、すぐに支払えるようにしています。そのため、その男性の様子を見ながら、なぜ待っている間に財布を出しておかないのだろうと感じました。

後ろには人が並び、店員も会計を進めています。自分の行動が少し遅れれば、後ろの人や店全体の流れにも影響します。私はその場面から、自分のことだけに意識が向き、周囲の動きが見えていないのではないかと考えました。

支払い方法ではなく、次を考えているか

ここで問題にしたいのは、現金払いが悪く、スマートフォン決済が良いという話ではありません。現金であっても、並んでいる間に財布を用意しておけば、会計は円滑に進みます。

大切なのは、次に何が起こるかを考え、そのための準備をしているかどうかです。

私は仕事でも日常生活でも、常に次の一手を考える癖があります。長く建設現場の所長を務めてきた経験が大きいのでしょう。工程、人員、重機、資材、天候などを見ながら、次に何が起こるのか、その前に何を準備しておくのかを考えなければ、現場は円滑に進みません。

さらに心理学を学んでからは、人の動きにも敏感になりました。

人はなぜそこで立ち止まるのか。なぜ準備をしないのか。その行動は周囲にどのような影響を与えるのか。以前なら単に「遅い」と感じて終わっていた場面でも、その人の注意の向け方や状況認識まで考えるようになりました。

人を決めつけるための心理学ではない

ただし、一度の行動だけを見て、「この人は自分本位な人だ」と決めつけるのは注意が必要です。

その男性は考え事をしていたのかもしれません。金額が分かってから財布を出す習慣なのかもしれません。あるいは、ランチタイムの会計では先に準備するという発想が、そもそもなかった可能性もあります。

心理学には「基本的帰属の誤り」という考え方があります。他人の行動を見ると、その場の事情よりも、「気が利かない人だ」「だらしない人だ」と、その人の性格に原因を求めやすいという傾向です。

私自身も、財布を出すのが遅いという一場面から、人物全体を評価しそうになっていました。

心理学は、人の心を言い当てるための道具ではありません。一つの行動に対して、ほかの理由もあるのではないかと考え、自分の見方を点検するための道具です。

人の動きをよく見ることと、相手を決めつけないこと。この二つを一緒に持つ必要があります。

他人の行動を、自分を映す鏡にする

今回の出来事で最も大切なのは、その男性を批判することではありません。前の人を見て感じた違和感を、自分の行動を振り返るきっかけにすることです。

まさに「他人のふり見て我が振り直す」です。

自分は本当に周囲を見ているだろうか。準備しているつもりでも、誰かを待たせていないだろうか。自分の仕事だけに集中し、仲間の動きや全体の流れを止めていないだろうか。

他人の行動に気づいたとき、その視線をいったん自分へ戻すことで、単なる不満が学びに変わります。

この考え方は、建設現場や製造現場でも重要です。通路に資材を置いた人を責めるだけでは、次の事故は防げません。

なぜそこに置いたのか。誰が困るのか。このあと人や重機がどのように動くのか。そして、自分にも同じ行動がないかを考えます。目の前の状態だけでなく、その先の変化を見ることが安全につながります。

「気づく力」は教育できる

私は、こうした状況認識力は教育によって高められると考えています。ただ「周りをよく見なさい」と言うだけでは身につきません。

日常や現場の一場面を題材にして、次のように考える練習が必要です。

  1. 何が見えたのか。
  2. その事実は何を意味するのか。
  3. ほかの理由は考えられないか。
  4. このあと何が起こりそうか。
  5. 今、自分には何ができるか。

これは、私が勧めているStop-Look-Thinkにもつながります。

いったん立ち止まり、周囲を見て、次に起こることを考える。最初は意識しなければできなくても、毎日の小さな場面で繰り返せば、次第に習慣になります。

他人の行動が気になったとき、すぐに相手を評価するのではなく、「私はどうだろう」と自分に問い返す。そうすれば、人のふりは批判の材料ではなく、自分を成長させる教材になります。

今日、誰かの行動に違和感を覚えたとき、その人を責める前に、自分の次の一手を考えてみてはいかがでしょうか。

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