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安全大会の講話で伝えたいこと

ブログ

2026.06.30

人が起こす事故を、人が防ぐ

濵口労働安全コンサルタント事務所では、安全大会や安全衛生大会での講話も行っています。

安全大会は、単に事故件数や法令を確認する場ではありません。現場で働く一人ひとりが、「なぜ事故は起きるのか」「自分ならどう行動するのか」を考え、安全を自分自身の問題として受け止める大切な機会です。

私は大阪大学大学院で認知心理学を学びました。その知見を土台として、現場で本当に役立つ安全講話を心がけています。

取り上げるテーマは、ヒューマンエラー、心理的安全性、コミュニケーションエラー、認知バイアス、そしてSafetyⅠ・SafetyⅡ、レジリエンスなどです。

難しい言葉を並べることが目的ではありません。現場で起こる「うっかり」「思い込み」「言ったつもり」「聞いたつもり」を、働く人が自分の経験と重ねながら理解できるよう、具体例を交えて丁寧にお伝えします。

ヒューマンエラーは、特別な人だけが起こすものではない

事故が起きると、つい「本人の注意が足りなかった」と考えがちです。

しかし、人は疲れます。急ぎます。慣れます。忘れます。そして、見えているつもりでも見落とします。

ヒューマンエラーは、能力の低い人や不真面目な人だけに起こるものではありません。経験豊富なベテランにも、責任感の強い職長にも起こります。

だからこそ大切なのは、「気をつけましょう」だけで終わらせないことです。

なぜ見落としたのか。なぜ確認を省略したのか。なぜ危険を感じながら作業を止められなかったのか。人の特性と作業環境の両方から考える必要があります。

事故を起こした人を責めるだけでは、次の事故は防げません。人が間違えることを前提にして、間違えても大きな事故にならない仕組みを作ることが、安全管理の基本です。

心理的安全性が、危険を早く表に出す

現場では、小さな異常や違和感に気づいた人がいても、言い出せないことがあります。

「忙しそうだから言いにくい」
「こんなことを言ったら怒られるかもしれない」
「自分だけ気にしすぎかもしれない」
「ベテランが大丈夫と言っているから黙っておこう」

こうした空気がある現場では、危険は表に出ません。

心理的安全性とは、何を言っても許されるという意味ではありません。危険、不安、ミス、疑問を、立場に関係なく言葉にできる状態です。

「少しおかしいと思います」
「この方法で本当に大丈夫ですか」
「もう一度確認してもよいですか」

こうした一言を言えることが、事故の芽を早く見つけることにつながります。

安全な現場とは、失敗した人を責めない現場ではありません。失敗や危険の兆候を隠さず、早く共有し、みんなで対策できる現場です。

コミュニケーションエラーは、現場のすき間で起きる

現場の事故には、コミュニケーションの行き違いが関係していることが少なくありません。

「伝えたつもりだった」
「分かっていると思った」
「聞いていない」
「言われたが、意味を違って受け取った」

作業内容が複雑になり、多くの職種や会社が関わるほど、このすき間は大きくなります。

特に危険なのは、言葉だけで確認を終えた時です。

「分かりました」ではなく、相手に作業内容や危険ポイントを言い返してもらう。
「あそこを注意して」ではなく、場所と危険内容を具体的に伝える。
変更があった時は、関係者全員に届いたか確認する。

安全は、指示を出した時点では完成しません。相手が正しく理解し、現場で行動できて初めて安全につながります。

SafetyⅠからSafetyⅡへ

従来の安全管理は、事故や不具合をなくすことを中心に考えてきました。これはSafetyⅠと呼ばれる考え方です。

事故が起きた時に原因を調べ、ルールを作り、再発を防ぐ。もちろん、これは今でも大切な安全活動です。

しかし、現場では毎日、予定通りにいかないことが起こります。

天候が変わる。
工程が遅れる。
人員が変わる。
設備に不具合が出る。
予想していなかった作業が発生する。

それでも、多くの日は事故なく仕事が進んでいます。

SafetyⅡは、「なぜ事故が起きたのか」だけでなく、「なぜ普段はうまくいっているのか」に目を向ける考え方です。

職長が早めに危険を察知していた。
作業員同士が声を掛け合っていた。
予定変更に合わせて作業方法を変えた。
危険を感じた人が作業を止めた。

こうした日常の工夫や調整の積み重ねが、現場の安全を支えています。

安全とは、単に事故が起きていない状態ではありません。変化や予想外の出来事に対応しながら、仕事を安全に進め続ける力です。

レジリエンスとは、変化に対応する力

レジリエンスとは、変化や想定外の出来事が起きても、状況を把握し、必要な対応を取り、立て直していく力です。

現場においては、次のような力が求められます。

危険の兆候を早く察知する力。
状況が変わった時に作業を見直す力。
仲間と情報を共有する力。
異常が起きた時に被害を広げない力。
経験から学び、次の仕事に生かす力。

この力は、一人の優秀な人だけで作れるものではありません。

職長、作業員、協力会社、管理者が、それぞれの立場で気づいたことを出し合い、調整し、支え合うことで現場のレジリエンスは高まります。

最終的に事故を防ぐのは、人である

原子力発電所のような高度に自動化された設備でも、異常時には人が状況を認知し、判断し、必要な操作を行うことが前提になります。設計上も、運転員が事象を認知して操作を判断するための時間的余裕として、少なくとも10分間を見込む「10分ルール」が用いられてきました。

機械は正確です。疲れません。決められた条件なら、確実に動きます。

しかし、機械は現場の空気を読みません。
作業員の疲れや焦りには気づきません。
「何かがおかしい」という違和感を持つこともありません。

どんなに機械やAIが進歩しても、最終的に状況を見て、危険を感じ、作業を止め、仲間に伝え、判断するのは人です。

私が求める安全は、「人が起こす事故を、人が防ぐ」ことです。

人は間違えます。だからこそ、人が支え合う。
人は見落とします。だからこそ、仲間が声を掛ける。
人は迷います。だからこそ、止まって確認できる仕組みを作る。

安全大会の講話を通じて、一人ひとりが安全を「誰かに守ってもらうもの」ではなく、「自分たちで作るもの」と感じていただければと思います。

安全大会・安全講話のご相談について

濵口労働安全コンサルタント事務所では、建設現場、工場、協力会社安全大会など、それぞれの業種や参加者に合わせた安全講話を行っています。

ヒューマンエラー、心理的安全性、コミュニケーション、安全文化、SafetyⅠ・SafetyⅡ、レジリエンスなど、現場で活用できる内容を分かりやすくお伝えします。

「安全大会で、いつもと少し違う話をしてほしい」
「作業員が自分のこととして考えられる講話にしたい」
「管理者向けに、安全管理を一段深く学びたい」

そのようなご要望にも対応しています。

安全は、知識だけでは守れません。
人の特性を理解し、人が安全に働ける現場を作ること。
それが、事故を防ぎ、仲間を守り、会社を守ることにつながります。


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